労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生一般 問04

粉じんの吸入及びじん肺




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合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問04 難易度 きわめて易しい問題である。これを落とすようでは合格は覚束ないだろう。
粉じんとじん肺

問04 粉じんの吸入及びじん肺に関する次のイ~ニの記述について、適切なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ じん肺の合併症の一つとして肺がんがある。

ロ じん肺の病変は可逆的である。

ハ 空気力学的直径が1µm程度の粉じんは肺胞まで到達しうる。

ニ 気管支に付着した粉じんは通常マクロファージにより取り除かれる。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)イ   ニ

(4)ロ   ハ

(5)ハ   ニ

正答(2)

【解説】

イ 正しい。じん肺による合併症は、じん肺法第2条第2項の規定により、じん肺則第1条に定められているが、①肺結核、②結核性胸膜炎、③続発性気管支炎、④続発性気管支拡張症、⑤続発性気胸及び⑥原発性肺がんの6疾病である。

本肢の「肺がん」には「原発性」の表記がなく、やや疑問はあるが、ロとニが明らかに誤っているので正しいとしておく。

ロ 誤り。現在の医学では、じん肺で変化の起きた肺を元に戻すことはできない。

ハ 正しい。吸入性(レスピラブル)粉じんとは空気力学的直径が4µm以下の粒子をいい、肺胞まで到達し得る(※)

 これについては「粉状物質の有害性情報の伝達による健康障害防止のための取組」(平成29年10月24日基安発1024第1号)の「別紙」の3の注2を各自、参照されたい。

インハラブル(吸引性)、ソラシック(咽頭通過性)レスピラブル(吸入性)の違いについては「粒子状物質測定の難しさ」(産業安全衛生総合研究所)に分かりやすい図が出ている。

ニ 誤り。マクロファージとは白血球の一種で、マクロは「大きい」ファージは「食べる細胞」という意味である。細菌などを貪食して細胞内で殺菌する。気管支に付着した粉じんを取り除く作用はない。

気管支に付着した粉じんは痰とともに吐き出されて体外に排出される。

2019年12月01日執筆