問2 粉じん障害防止のための措置等に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、正しいものはどれか。
(1)粉じん作業を行う坑内作業場については、1か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。
(2)金属の溶断の作業を常時行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度及び粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。
(3)特定粉じん作業を行う屋内作業場に係る作業環境測定の結果を評価して、第2管理区分又は第3管理区分に区分された場所については、その区分に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、施設又は設備の設置、作業方法の改善等の措置を講じて第1管理区分となるようにしなければならない。
(4)屋内作業場において、耐火物を用いた窯、炉等を解体し、又は破砕する作業を常時行う業務に労働者を就かせるときは、粉じんの発散防止方法、作業場の管理等の所定の科目について特別の教育を行わなければならない。
(5)屋内作業場において、使用前の直径が300ミリメートル未満の研削といしを用いて特定粉じん作業を行う場合、当該作業に従業する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるとともに全体換気装置による換気を実施するときは、特定粉じん発生源における局所排気装置等の発散抑制の設備の設置は要しない。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問02 | 難易度 | かなり詳細な内容を問う問題である。難問と言えよう。 |
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粉じん障害防止の措置 | 4 |
問2 粉じん障害防止のための措置等に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、正しいものはどれか。
(1)粉じん作業を行う坑内作業場については、1か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。
(2)金属の溶断の作業を常時行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度及び粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。
(3)特定粉じん作業を行う屋内作業場に係る作業環境測定の結果を評価して、第2管理区分又は第3管理区分に区分された場所については、その区分に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、施設又は設備の設置、作業方法の改善等の措置を講じて第1管理区分となるようにしなければならない。
(4)屋内作業場において、耐火物を用いた窯、炉等を解体し、又は破砕する作業を常時行う業務に労働者を就かせるときは、粉じんの発散防止方法、作業場の管理等の所定の科目について特別の教育を行わなければならない。
(5)屋内作業場において、使用前の直径が300ミリメートル未満の研削といしを用いて特定粉じん作業を行う場合、当該作業に従業する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるとともに全体換気装置による換気を実施するときは、特定粉じん発生源における局所排気装置等の発散抑制の設備の設置は要しない。
正答(5)
【解説】
(1)誤り。作業環境測定を行うべき作業場は安衛令第21条に定められており、その第四号に「坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの」がある。そして、これを受けた、粉じん則第6条の3第1項には「事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、厚生労働大臣の定めるところにより、当該坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定し、その結果を評価しなければならない。ただし、ずい道等の長さが短いこと等により、空気中の粉じんの濃度の測定が著しく困難である場合は、この限りでない
1か月以内ごとに1回では足りない。また、本肢は粉じん則第6条の3の但し書きについての記載がないことからも誤りとなろう。
なお、坑内においては、一定の場合について、炭酸ガスの濃度は1か月以内ごとに1回、気温、通気量は半月以内ごとに1回、それぞれ定期にそれらの測定をしなければならないことも覚えておこう。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 (以下略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの
五 (以下略)
【粉じん障害防止規則】
第6条の3 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、厚生労働大臣の定めるところにより、当該坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定し、その結果を評価しなければならない。ただし、ずい道等の長さが短いこと等により、空気中の粉じんの濃度の測定が著しく困難である場合は、この限りでない。
2 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場において前項の規定による測定を行うときは、厚生労働大臣も定めるところにより、当該坑内作業場における粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。ただし、当該坑内作業場における鉱物等中の遊離けい酸の含有率が明らかな場合にあつては、この限りでない。
【労働安全衛生規則】(以下参考)
第589条 令第二十一条第四号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。
一 炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場
二 気温が二十八度をこえ、又はこえるおそれのある坑内の作業場
三 通気設備が設けられている坑内の作業場
(坑内の炭酸ガス濃度の測定等)
第592条 事業者は、第五百八十九条第一号の坑内の作業場について、一月以内ごとに一回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。
2 (略)
(坑内の通気量の測定)
第603条 事業者は、第五百八十九条第三号の坑内の作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における通気量を測定しなければならない。
2 (略)
(坑内の気温測定等)
第612条 事業者は、第五百八十九条第二号の坑内の作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における気温を測定しなければならない。
2 (略)
(2)誤り。粉じん則第25条により、作業環境測定を行うべき「土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場」は「常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場」であるとされている。
しかしながら、屋内における金属の溶断の作業を行う作業は、粉じん則別表第1には示されているが、別表第2には示されていない。従って、粉じん則第2条第1項の規定により、金属の溶断の作業は、特定粉じん作業ではない。
従って、屋内における金属の溶断の作業を行う作業は、作業環境測定は義務付けられていない。本肢は誤りである。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 (以下略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
二 (以下略)
【粉じん障害防止規則】
(定義等)
第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 粉じん作業 別表第一に掲げる作業のいずれかに該当するものをいう。ただし、当該作業場における粉じんの発散の程度及び作業の工程その他からみて、この省令に規定する措置を講ずる必要がないと当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が認定した作業を除く。
二 特定粉じん発生源 別表第二に掲げる箇所をいう。
三 特定粉じん作業 粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう。
2 (以下略)
(作業環境測定を行うべき屋内作業場)
第25条 令第21条第一号の厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。
別表第一 (第二条、第三条関係)
一~十九 (略)
二十 屋内、坑内又はタンク、船舶、管、車両等の内部において、金属を溶断し、又はアークを用いてガウジングする作業
二十の二 (以下略)
(3)誤り。粉じん則第26条の3は、特定粉じん作業を行う屋内作業場に係る作業環境測定の結果を評価して、第3管理区分に区分された場所については、第3項においてその区分に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けるほか、第1項において施設又は設備の設置、作業方法の改善等の措置を講じて第1管理区分又は第2管理区分となるようにしなければならないと規定している。
【粉じん障害防止規則】
(評価の結果に基づく措置)
第26条の3 事業者は、前条第1項の規定による評価の結果、第三管理区分に区分された場所については、直ちに、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講じ、当該場所の管理区分が第一管理区分又は第二管理区分となるようにしなければならない。
2 事業者は、前項の規定による措置を講じたときは、その効果を確認するため、同項の場所について当該粉じんの濃度を測定し、及びその結果の評価を行わなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、第1項の場所については、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講じなければならない。
(4)誤り。粉じん則第22条は、常時特定粉じん作業に係る業務に労働者を就かせるときは特別の教育を行わなければならないとしている。しかし、耐火物を用いた窯、炉等を解体し、又は破砕する作業は、粉じん則別表第1には示されているが、別表第2には示されていない。従って、この作業は特定粉じん作業ではなく、特別の教育を行う安衛法上の義務はない。
【粉じん障害防止規則】
(定義等)
第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 粉じん作業 別表第一に掲げる作業のいずれかに該当するものをいう。ただし、当該作業場における粉じんの発散の程度及び作業の工程その他からみて、この省令に規定する措置を講ずる必要がないと当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が認定した作業を除く。
二 特定粉じん発生源 別表第二に掲げる箇所をいう。
三 特定粉じん作業 粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう。
2 (以下略)
(特別の教育)
第22条 事業者は、常時特定粉じん作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない。
一~五 (略)
2 (略)
別表第一 (第二条、第三条関係)
一~十八 (略)
十九 耐火物を用いて窯、炉等を築造し、若しくは修理し、又は耐火物を用いた窯、炉等を解体し、若しくは破砕する作業
二十 (以下略)
(5)正しい。粉じん障害防止規則第8条の規定により正しい。本肢は、作業者に有効な呼吸用保護具を使用させ、かつ屋内作業場で全体換気装置による換気を実施している。
【粉じん障害防止規則】
(研削といし等を用いて特定粉じん作業を行う場合の適用除外)
第8条 第4条の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であって、当該特定粉じん作業に従業する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させたときは、適用しない。この場合において、事業者は、屋内作業場にあっては全体換気装置による換気を、坑内作業場にあっては換気装置による換気を実施しなければならない。
一 使用前の直径が三百ミリメートル未満の研削といしを用いて特定粉じん作業を行う場合
二 (以下略)