労働衛生コンサルタント試験 2018年 労働衛生一般 問23

筋活動




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 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問23 難易度 筋活動に関する知識問題である。医師でない受験者には難問かもしれない。
筋活動

問23 筋活動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)静的筋活動での筋収縮の最大持続時間は、筋収縮の強さに依存する。

(2)筋収縮により発揮される単位断面積当たりの最大筋力には、性差はほとんどない。

(3)静的筋活動では、筋収縮により老廃物の排出が促進される。

(4)VDT作業による首の痛みやこりは、頭部の前傾が大きくなると増す。

(5)VDT作業による腰背部の痛みやこりは、持続的な静的筋活動が主な原因である。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。長時間の筋肉の強縮が続くと、筋は次第に強い収縮を維持できなくなり、収縮不能となる。このような現象を筋の疲労という。本肢は、我々の常識にかなうことを述べている。大きな力を出している場合と、小さな力を出している場合では、長時間耐えられないのは前者の方であろう。本肢は正しい。

(2)正しい。等尺性収縮とは、重い荷物を手にぶら下げているように、筋肉の長さは変えずに力を出している状態である。等尺性最大筋力に対して作業筋の断面積が重要な影響を及ぼしていることは定説と言ってよい。そして、筋断面積当たりの等尺性最大筋力には大きな個人差があるが、この個人差の原因については必ずしも明らかではなく、少なくとも性差によるとは考えられていない。従って、本肢は誤っているとは言えない。

なお、近年の労働衛生の課題としては、重筋作業よりも、局部的な筋について持続的な筋収縮が要求される静的筋作業が重要と言える。

(3)誤り。静的筋活動で筋肉が収縮していると血流が少ない状態となる。そのような状態では、老廃物が血流によって排出されることがなく、逆に蓄積されることとなる。

(4)正しい。これは解説するまでもないだろう。不自然な姿勢を続けていると、無理な負担が体にかかり、肩こり、腰痛、目の疲れをまねくことは、我々が日常経験していることである。これを防ぐには、首を前傾しないようにし、肩も力を抜いて、丸くならないようにする。

(5)正しい。VDT作業による腰背部の痛みやこりは、持続的な静的筋活動が主な原因であると言い切られると、やや疑問を感じないではないが、本肢は誤っているとまではいえないであろう。

2019年12月01日執筆 2020年01月19日修正