労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生一般 問15

有害化学物質による健康障害




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 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問15 難易度 個々の化学物質による健康障害は頻出事項である。しかし、医師以外の受験生にとっては難問だろう。
有害物による健康障害

問15 有害物と健康障害との次の組合せのうち、誤っているものはどれか。

(1) クロム酸 ・・・ 鼻中隔穿孔
(2) マンガン ・・・ パーキンソン症候群
(3) コールタールナフサ ・・・ 白斑
(4) ベンゼン ・・・ 白血球減少
(5) メチルセロソルブ ・・・ 貧血

正答(3)

【解説】

(1)正しい。クロム酸による鼻中隔穿孔は、日本化学工業のいわゆる六価クロム事件で有名になった。1971年の小松川工場で62人に鼻中隔穿孔が認められ、クロム酸によって発症したと考えられている。

(2)正しい。マンガン中毒は、マンガン鉱山の労働者や皮なめし業の労働者に発生している。これは、固縮、動作緩慢、歩行障害、突進現象などのパーキンソン病に似た症状を呈し、2次性パーキンソン症候群と呼ばれる。

(3)誤り。コールタールナフサは第3種有機溶剤である。コールタールナフサによって白斑を生じるという報告はない。職場のあんぜんサイトのコールタールナフサのモデルSDSにも、皮膚腐食性・刺激性は区分外とされている。

(4)正しい。ベンゼンは、特定化学物質の特定第2類物質であり、特別管理物質でもある。ベンゼンにばく露することにより、白血球減少(初期には一過性の増多が起こり得る)を呈し、また再生不良性貧血の原因となる。また、職場のあんぜんサイトのモデルSDSにも「赤血球、白血球、リンパ球、ヘマトクリット減少」と記述されている文献が紹介されている。

なお、労基則別表第1の2に「ベンゼンにさらされる業務による白血病」が挙げられている。

(5)正しい。メチルセロソルブは第2種有機溶剤である。職場のあんぜんサイトのモデルSDSには、「血液、骨髄に影響を与え、貧血、血球障害を生じることがある」とされている。

2019年12月01日執筆 2020年03月15日修正