労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生一般 問03

じん肺




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問03 難易度 やや詳細な知識問題であるが、基本的な問題である。確実に正答しなければならない。
じん肺防止対策

問03 じん肺に関する次のイ~ニの記述について、正しいもののみの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ じん肺では、肺内に線維組織が増殖する。

ロ けい肺では、主として下肺野から病変が生じる。

ハ 有機粉じんについては、日本産業衛生学会の許容濃度が設定されている。

ニ ここ数年のじん肺健康診断受診者の有所見率は、3%を超えている。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ

正答(2)

【解説】

以下により、本問の正答は(2)となる。

イ 正しい。じん肺とは、「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」のことである(じん肺法第2条参照)。従って本肢は正しい。

【じん肺法】

(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 じん肺 粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。

二~五 (略)

 (以下略)

ロ 誤り。けい肺とは、じん肺のうち遊離けい酸粉じんによるものをいう。けい肺ではまず粒状陰影が上中肺野に形成されることが多い。これが進行すると大陰影となる。従って本肢は誤りである。なお、けい肺でも、下肺野に代償性肺気腫を生じることもある。

ハ 正しい。日本産業衛生学会は、「石灰石、その他の無機および有機粉塵」を第3種粉塵として位置づけ、吸入性粉塵(レスピラブル粉塵)の許容濃度を2mg/m3、総粉塵を8mg/m3と定めている。

なお、これらの数値は、あくまでもある有機粉塵に個別に許容濃度を定めていない場合に用いるものであって、すべての有機粉塵についてこの値を用いるというものではないことには留意する必要がある。

ニ 誤り。「じん肺管理区分の決定状況」によれば、じん肺健康診断の結果報告書による有所見率は平成18年以降3%を下回っている。従って誤りである。なお、平成30年の有所見率は0.4%である。

最新の情報は「業務上疾病発生状況等調査」から最後の年を閲覧されたい。

2019年12月01日執筆 2020年03月08日修正