労働衛生コンサルタント試験 2016年 労働衛生関係法令 問10

作業環境測定の測定対象、測定頻度等




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 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問10 難易度 作業環境測定に関するやや細かな知識問題である。確実に正答しておきたい問題である。
作業環境測定

問10 労働安全衛生法令に基づいて実施する作業環境測定の測定対象A、測定頻度B 及び測定結果の記録を保存すべき期間C の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1) 空気中のアクリロニトリルの濃度 6か月以内ごとに1回 5年
(2) 空気中の放射性物質の濃度 1か月以内ごとに1回 30年
(3) 空気中のノルマルヘキサンの濃度 1年以内ごとに1回 5年
(4) 空気中のベンゼンの濃度 6か月以内ごとに1回 30年
(5) 空気中の鉱物性粉じんの濃度 6か月以内ごとに1回 5年

正答(4)

【解説】

特殊健康診断と作業環境測定は、6月を超えない期間ごとに1回実施するというものが多い。従って、受験テクニックとしては、それ以外のものを覚えておけばよい。また、保存期間は発がん性のあるものは30年、その他のものは3年(健診は5年)が原則である。

あとは、例外だけを覚えておけばよい。例外として覚えておくべきものは電離放射線と粉じんである。

なお、これらの測定対象は、常に測定しなければならないわけではなく、一定の場合についてのみであるが、そのことが本問の結論に影響を与えるわけではない。

(1)誤り。アクリロニトリルは第2類の特定化学物質である。作業環境測定については、特定化学物質障害予防規則第36条に定められている。その実施時期は6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期間は3年である。従って、本肢は誤っている。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~六 (略)

 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場(同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを行うものを除く。)、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場又はコークス炉上において若しくはコークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場

八~十 (略)

別表第3 特定化学物質(第六条、第九条の三、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 (略)

 第二類物質

 (略)

 アクリロニトリル

3~37 (略)

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 (略)

 第二類物質 令別表第三第二号に掲げる物をいう。

三~七 (略)

 (以下略)

(測定及びその記録)

第36条 事業者は、令第二十一条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第二条第一項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第一第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、六月以内ごとに一回、定期に、第一類物質(令別表第三第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第一に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない

一~七 (略)

 (以下略)

(2)誤り。空気中の放射性物質の濃度の測定については、電離放射線障害防止規則第55条に「事業者は、第53条第二号から第三号までに掲げる作業場について、その空気中の放射性物質の濃度を1月以内ごとに1回、定期に、放射線測定器を用いて測定し、その都度、前条第1項各号に掲げる事項を記録して、これを5年間保存しなければならない」と定められている。保存年限が誤っている。

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~五 (略)

 別表第二に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの

七~十 (略)

【電離放射線障害防止規則】

(放射性物質の濃度の測定)

第55条 事業者は、第五十三条第二号から第三号までに掲げる作業場について、その空気中の放射性物質の濃度を一月以内ごとに一回、定期に、放射線測定器を用いて測定し、その都度、前条第一項各号に掲げる事項を記録して、これを五年間保存しなければならない

(3)誤り。ノルマルヘキサンは第2種有機溶剤である。作業環境測定については有機溶剤中毒予防規則第28条に定められている。その実施時期は6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期間は3年である。従って、本肢は誤っている。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~九 (略)

 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場

別表第6の2 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~三十八 (略)

三十九 ノルマルヘキサン

四十~五十五 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~三 (略)

 第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。

 令別表第六の二第一号から第十三号まで、第十五号から第二十二号まで、第二十四号、第二十五号、第三十号、第三十四号、第三十五号、第三十七号、第三十九号から第四十二号まで又は第四十四号から第四十七号までに掲げる物

 (略)

 (略)

五及び六 (略)

 (以下略)

(測定)

第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前項の規定により測定を行なつたときは、そのつど次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない

一~七 (略)

(4)正しい。)ベンゼンは第2類の特定化学物質である。作業環境測定は特定化学物質障害予防規則第36条により定められている。その実施時期は6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期間は同条第3項により30年である。従って、本肢は正しい。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~六 (略)

 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場(同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の2に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを行うものを除く。)、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場又はコークス炉上において若しくはコークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場

八~十 (略)

別表第3 特定化学物質(第六条、第九条の三、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 (略)

 第二類物質

1~29 (略)

30 ベンゼン

31~37 (略)

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(測定及びその記録)

第36条 事業者は、令第二十一条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第二条第一項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第一第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、六月以内ごとに一回、定期に、第一類物質(令別表第三第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第一に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない

 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一~七 (略)

 事業者は、前項の測定の記録のうち、令別表第三第一号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第二号3の2から6まで、8、8の2、11の2、12、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の2に掲げる物に係る測定の記録並びに同号11若しくは21に掲げる物又は別表第一第十一号若しくは第二十一号に掲げる物(以下「クロム酸等」という。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る測定の記録については、三十年間保存するものとする

 (略)

(5)誤り。各種の鉱物製粉じんの濃度の測定は、粉じん障害防止規則第26に定められている。その実施時期は6月を超えない期間ごとに1回であり、保存期間は同条第8項により7年である。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

二~十 (略)

【粉じん障害防止規則】

(粉じん濃度の測定等)

第26条 事業者は、前条の屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。

2~7 (略)

 事業者は、第一項から第三項までの規定による測定を行つたときは、その都度、次の事項を記録して、これを七年間保存しなければならない。

一~七 (略)

2017年11月03日執筆 2020年04月12日修正