労働衛生コンサルタント試験 2016年 労働衛生一般 問19

作業環境測定における有害物の捕集法




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 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問19 難易度 空気中の有害物の捕集法に関する高度な知識問題。作業環境測定士以外の受験生には難問だろう。
空気中の有害物の捕集法

問19 作業場における空気中の有害物の捕集法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ろ過捕集法は、ろ紙により試料空気中の粒子を捕集する方法で、鉱物性粉じんの捕集に用いられている。

(2)固体捕集法は、吸着剤により試料空気中の蒸気を捕集する方法で、有機溶剤の捕集に用いられている。

(3)液体捕集法は、試料空気を液体に通し、溶解、反応等をさせて含まれる有害物を捕集する方法で、水溶性の塩の捕集に用いられている。

(4)直接捕集法は、試料空気を圧縮して容器に採取する方法で、気体の捕集に用いられている。

(5)相補型ろ過捕集法は、空気中の粒子をろ紙により捕集し、ろ紙を通過したその蒸気を吸着剤により捕集する方法で、固体の有機化合物の捕集に用いられている。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。本肢の通りである。例えば、石綿などの作業環境測定では、ろ紙に石綿を捕集して、顕微鏡でろ紙表面の石綿の数を数えて濃度を測定する。

(2)正しい。有機溶剤の作業環境測定法のひとつに固体捕集法がある。これは、活性炭などの固体の吸着材の層に、測定対象気体を通して測定対象物を捕集する方法である。固体の活性炭等に吸着させるので、固体捕集法と呼ばれる。本肢は正しい。

この方法は、捕集袋やキャニスターなどに試料空気を捕集する直接捕集法と比較して、試料を濃縮できるため,対象物質濃度を低濃度まで分析できる利点がある。

(3)正しい。液体に溶解、反応する物質について、被測定気体を液体に通したり、液体の表面と接触させたりすることにより、溶解・反応等をさせて測定対象物を捕集する方法を液体補修法という。液体に通す方法のみではないが、本肢は正しいといってよいだろう。

(4)誤り。直接捕集法は、捕集バックやキャニスター缶で、気体を捕集する方法であるが、捕集バックには気体をそのままの圧力で集めるようになっている。また、キャニスター缶はあらかじめ真空状態にしておいて、気体を捕集するものであり、気体が圧縮されることはない。

(5)正しい。相補型ろ過捕集法とは、ろ過捕集材と吸着剤とを組み合わせた捕集方法であるが、o-フタロジニトリルやアクリルアミドは、この方法によって捕集する。

2019年12月01日執筆 2020年04月19日修正