労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2015年 問4

受動喫煙防止対策




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 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

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2015年度(平成27年度) 問 4 職場における喫煙対策の考え方が変化しており、当時と今では正答とすべき内容がやや異なる。
受動喫煙防止対策
2018年10月21日執筆 2020年05月08日修正

問4 労働衛生コンサルタントとして指導を行う事業場から、受動喫煙防止対策に関する助言を求められている。職場における受動喫煙防止対策に関し、以下の設問に答えよ。

  • (1)受動喫煙による健康影響を四つ挙げよ。

    • 【解説】
      2016年に厚労省の検討会がまとめた「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」の第2章第6節から、科学的証拠が因果関係を推定するのに十分(レベル1)なものを4点挙げておく。
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    • 【解答例】
      (1)がん(肺がん)
      (2)循環器疾患(虚血性心疾患及び脳卒中)
      (3)呼吸器への急性影響(臭気・不快感,鼻の刺激感)
      (4)妊婦の胎児への影響(呼吸器疾患、中耳疾患、乳幼児突然死症候群(SIDS)およびう蝕)
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  • (2)職場における受動喫煙防止のための適切な喫煙対策の方法を二つ挙げ、その内容を説明せよ。

    • 【解説】
      令和元年7月1日基発0701第1号「「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」の策定について」から2点を挙げておく。なお、この通達は出題後に発出されたものであり、出題時の正答とは異なっているものであること。
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    • 【解答例】
      1 推進計画の策定及び担当部署の指定
      (1)事業場の実情を把握した上で、受動喫煙防止対策を推進するための計画(中長期的なものを含む。)を策定する。
      (2)企業全体又は事業場の規模等に応じ、受動喫煙防止対策の担当部署やその担当者を指定し、受動喫煙防止対策に係る相談対応等を実施させるとともに、各事業場における受動喫煙防止対策の状況につい て定期的に把握、分析、評価等を行い、問題がある職場について改善の ための指導を行わせるなど、受動喫煙防止対策全般についての事務を所 掌させる。
      2  労働者の健康管理等
      (1)事業場における受動喫煙防止対策の状況を衛生委員会等における調査審議事項とする。また、産業医の職場巡視に当たり、受 動喫煙防止対策の実施状況に留意する。
      (2)労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、受動喫煙 の防止のために講じた措置の内容、健康増進法の趣旨等に関する教育や 相談対応を行うことで、受動喫煙防止対策に対する意識の高揚を図る。
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  • (3)「職場における喫煙対策のためのガイドライン」におけるポイントを10 個挙げよ。

    • 【解説】
      本問にいう「職場における喫煙対策のためのガイドライン」は、平成15年5月9日付け基発0509001号「職場における喫煙対策のためのガイドラインについて」及び平成17年6月1日 基安発第0601001号「「職場における喫煙対策のためのガイドライン」に基づく対策の推進について」に示されたガイドラインを指すものと思われる。
      ところが、実を言えばこのガイドラインは試験実施の時点で、すでに平成27年5月15日付け基発0515第1号「労働安全衛生法の一部を改正する法律に基づく職場の受動喫煙防止対策の実施について」により廃止されていたのである。しかし、問題文のガイドラインの名称(「受動」の2字がない)や試験実施時期がこの通達の直後だったことから判断して、おそらく出題者は、旧ガイドラインを念頭において問題を作成したのではないかと思われる。
      また、平成27年の通達も、すでに令和元年7月1日付け基発0701第1号「「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」の策定について」により廃止されている。新旧ガイドラインの表題を見れば分かるように、旧ガイドラインは「喫煙対策」であり、新ガイドラインは「受動喫煙防止」である。
      旧ガイドラインを基に解答例を示しても意味はないので、解答例は、令和元年の新通達に基づいて挙げておく。ただ、旧ガイドラインでポイントを10個挙げよというのと異なり、新ガイドラインでは無理に挙げたような面があることをお断りしておく。
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    • 【解答例】
      (1)このガイドラインは健康増進法で義務付けられた事項及び安衛法により事業者が実施すべき事項を一体的に示すものである。
      (2)職場における受動喫煙防止対策を効果的に進めていくためには、企業において、組織的に実施することが重要であり、事業者は衛生委員会等の場を通じて、労働者の受動喫煙防止対策についての意識・意見を十分に把握し、事業場の実情を把握した上で、各々の事業場における適切な措置を決定するとされていること。
      (3)事業者は、事業場の実情を把握した上で、受動喫煙防止対策を推進するための計画(中長期的なものを含む。)を策定することとされていること。
      (4)事業者は、企業全体又は事業場の規模等に応じ、受動喫煙防止対策の担当部署やその担当者を指定し、受動喫煙防止対策に係る相談対応等を実施させるとともに、各事業場における受動喫煙防止対策の状況について定期的に把握、分析、評価等を行い、問題がある職場について改善のための指導を行わせるなど、受動喫煙防止対策全般についての事務を所掌させることとされていること。
      (5)事業者は、事業場における受動喫煙防止対策の状況を衛生委員会等における調査審議事項とすること。また、産業医の職場巡視に当たり、受動喫煙防止対策の実施状況に留意することとされていること。
      (6)事業者は、施設内に喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室など喫煙することができる場所を定めようとするときは、当該場所の出入口及び施設の主たる出入口の見やすい箇所に必要な事項を記載した標識を掲示しなければならないとされていること。
      (7)事業者は、労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、受動喫煙の防止のために講じた措置の内容、健康増進法の趣旨等に関する教育や相談対応を行うことで、受動喫煙防止対策に対する意識の高揚を図ることとされていること。
      (8)事業者は、労働者の募集及び求人の申込みに当たっては、就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項を明示することとされていること。
      (9)事業者は、健康増進法において適用除外の場所となっている宿泊施設の客室(個室)や職員寮の個室、特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの入居施設の個室、業務車両内等についても、望まない受動喫煙を防止するため、20 歳未満の者が喫煙可能な場所に立ち入らないよう措置を講じることとされていること。
      (10)事業者は、妊娠している労働者や呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者、がん等の疾病を治療しながら就業する労働者、化学物質に過敏な労働者など、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念がある者に対して、受動喫煙を防止するため、特に配慮を行うこととされていること。
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  • (4)特有の事情があり職場における受動喫煙防止の対応が容易ではないと考えられている業種とその理由を挙げ、そのような職場での受動喫煙を防止又は低減させるための対策を四つ挙げよ。

    • 【解説】
      解答例に示す通りであるが、改正健康増進法が施行されているため、現時点の状況に基づいて記した。出題当時とはやや状況が異なっている。
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    • 【解答例】
      喫煙目的施設(公衆喫煙所。喫煙を主たる目的とするバー、スナック等)や既存特定飲食提供施設や旅館・ホテル業においては、来客に喫煙の場を提供することもサービスの一環と考えられているため、喫煙場所や居室における受動喫煙を防止することが完全には困難と考えられている。
      しかしながら、飲食業でも全面的な禁煙を行うことは可能であり、旅館・ホテル業においても、ロビーや食堂など居室以外での喫煙は禁止する必要がある。
      また、喫煙目的施設については、外部に有害な成分が漏れないようにすること、内部に従業員が立ち入る場合は最後に喫煙が行われた後、一定時間が経過してから立ち入ること、未成年者や妊産婦は立ち入らせないようにすること等が必要である。
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  • (5)職場の喫煙所内の空気環境の基準を二つ挙げよ。また、喫煙所と非喫煙所の境界に係る空気環境の基準を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      本試験が行われた時点で有効であった平成27年5月15日付け基安発0515第1号「労働安全衛生法の一部を改正する法律に基づく職場の受動喫煙防止対策の実施について」には、喫煙室及び非喫煙区域の双方について以下の基準が定められている。
      ・ 喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2 m/s以上
      ・ 浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15 mg/m3以下
      ・ 一酸化炭素濃度:測定点全体の算術平均が10 ppm以下
      しかし(3)で述べたように、現時点では令和元年7月1日付け基発0701第1号「「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」の策定について」が有効となっている。ここには次の基準が定められている。
      ・ 喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2 m/s以上
      ・ 喫煙ブースから排出された気体が室外(第二種施設等の屋内又は内部の場所に限る。)に排気されるものであること。
      ・ 浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15 mg/m3以下
      ・ 揮発性有機化合物の除去率が 95%以上であること。
      したがって、現時点で答えるとしたら解答例のようになるだろうか。
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    • 1 職場の喫煙所内の空気環境の基準
      (1)浮遊粉じん濃度:測定点全体の算術平均が0.15 mg/m3以下であること。
      (2)揮発性有機化合物の除去率が 95%以上であること。
      2 喫煙所と非喫煙所の境界に係る空気環境の基準
      (1)喫煙室内に向かう気流:全ての測定点で0.2 m/s以上であること。
      (2)喫煙ブースから排出された気体が室外(建物等の内部に限る。)に排気されるものであること。
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  • (6)受動喫煙防止対策に関わる厚生労働省による支援措置を三つ挙げ、その概要を述べよ。

    • 【解説】
      厚生労働省による支援措置は、今後、変わってゆくことが考えられるが、ここでは2020年度の支援措置を挙げておく。
      詳細は厚生労働省のWEBサイト「職場における受動喫煙防止対策について」を各自、参照して欲しい。
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    • 1 受動喫煙防止対策助成金
      (1)職場での受動喫煙を防止するために、喫煙専用室の設置などを行う際に、その費用の一部を助成するものである。
      (2)国の助成金は工事費の半額を補助するもので、工事費の全額を補助するものではない。
      2 受動喫煙防止対策に係る相談支援
      (1)職場で受動喫煙防止対策を行うにあたって発生する悩みについて、専門家が相談に応じる(希望により、事業場に訪問可能)
      (2)全国で職場の受動喫煙防止対策に関する説明会を開催する。
      (3)企業の研修や団体の会合に専門家を派遣して、出前講座を行う。
      3 受動喫煙防止対策に関する測定機器貸出
      (1)職場環境の実態把握を行うため、デジタル粉じん計と風速計を無料で貸し出す。
      (2)希望に応じ、事業場に訪問して機器の使用方法の説明を行う。
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