労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生関係法令 問12

構造規格の対象となるもの




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 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問12 難易度 構造規格の対象となるものに関するかなり基本的な知識問題である。確実に正答しなければならない。
構造規格の対象

問12 次の機械等のうち、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置しではならないものに該当しないものはどれか。

(1)チェーンソー(排気量が40cm3 以上の内燃機関を有するもの)

(2)硫化水素用防毒マスク

(3)防じんマスク(ろ過材及び面体を有するもの)

(4)特定エックス線装置

(5)潜水器

正答(2)

【解説】

労働安全衛生法令上、厚生労働大臣が定める規格を具備すべきものは、同法第42条に規定している。すなわち「別表第2に定めるもの」と「政令で定めるもの」である。この「政令で定めるもの」は安衛令第13条第3項に定められており、(1)、(4)及び(5)は同項に規定されている。

一方、防じんマスク及び防毒マスクは、別表2に定められている。

このうち防じんマスクについては、安衛令第13条第5項が、ろ過材又は面体を有していない防じんマスクを除いているが、(3)はろ過材及び面体を有する防じんマスクであるから対象となる。

しかし、安衛令第13条第5項が、別表2の「防毒マスク」を「ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの」に限定しているのである。そして、省令(安衛則第26条)は、この規定を受けて一酸化炭素用防毒マスク、アンモニア用防毒マスク及び亜硫酸ガス用防毒マスクを定めている。すなわち(4)の硫化水素用防毒マスクは含まれていないので、これが正答となる。

厚生労働大臣が定める規格を具備すべきものとして、この5つのマスクの種類は基本である。覚えておかなければならない。

なお、安衛法第42条について、詳細は本サイトの「安衛法第42条 譲渡等の制限等(判りにくい条文)」を参照して頂きたい。

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

別表第2 別表第二(第四十二条関係)

一~七 (略)

 防じんマスク

 防毒マスク

十~十五 (略)

十六 電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (略)

 (略)

 法第四十二条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~二十 (略)

二十一 潜水器

二十二 波高値による定格管電圧が十キロボルト以上のエックス線装置(エックス線又はエックス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

二十四~二十八 (略)

二十九 チエーンソー(内燃機関を内蔵するものであつて、排気量が四十立方センチメートル以上のものに限る。)

三十~三十四 (略)

 (略)

 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機械等を含まないものとする。

(略) (略)
法別表第二第八号に掲げる防じんマスク ろ過材又は面体を有していない防じんマスク
法別表第2第九号に掲げる防毒マスク ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスク
(略) (略)

【労働安全衛生規則】

(規格を具備すべき防毒マスク)

第26条 令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒マスクは、次のとおりとする。

 一酸化炭素用防毒マスク

 アンモニア用防毒マスク

 亜硫酸ガス用防毒マスク

2020年05月16日執筆