労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生一般 問12

メンタルヘルス




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問12 難易度 メンタルヘルスに関するやや詳細な知識問題である。合否を分けるレベルであろう。正答しておきたい。
メンタルヘルス

問12 メンタルヘルスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)4つのメンタルヘルスケアとは、通常、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」を意味する。

(2)事業者は、衛生委員会等での審議を踏まえ、メンタルヘルスに関する個人情報について、それを取り扱う者及びその権限、取り扱う情報の範囲、個人情報管理責任者の選任、事業場内産業保健スタッフによる生データの加工、個人情報を取り扱う者の守秘義務等について、あらかじめ事業場内の規程等により取り決めることが望ましい。

(3)メンタルヘルス不調とは、精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むものをいう。

(4)産業医は、職場環境等の改善、健康教育・健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置のうち、医学的専門知識を必要とするものを行うという面から、事業場の心の健康づくり計画の策定に助言、指導等を行い、これに基づく対策の実施状況を把握することが望ましい。

(5)警察庁の平成 25 年における全国の自殺者の統計では、自殺の原因・動機は、多いものから順に、健康問題、勤務問題、経済・生活問題、家庭問題となっている。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は4つのメンタルヘルスケアとして、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」を挙げる。

なお、「事業場内産業保健スタッフによるケア」に「等」が付いていることに留意すること。この「等」は、事業場内の心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等を指す1)

(2)正しい。「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」は、事業者は、衛生委員会等での審議を踏まえ、あらかじめ個人情報の取扱い規定を定めるべきこととしている。

また、その内容として、個人情報を取り扱う者及びその権限、取り扱う情報の範囲、個人情報管理責任者の選任、事業場内産業保健スタッフによる生データの加工、個人情報を取り扱う者の守秘義務等について定めることは望ましいことである。

なお、「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」にも留意する必要がある。

(3)正しい。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、メンタルヘルス不調を「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう」と定義している。

(4)正しい。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、「産業医等は、職場環境等の改善、健康教育・健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置のうち、医学的専門知識を必要とするものを行うという面から、事業場の心の健康づくり計画の策定に助言、指導等を行い、これに基づく対策の実施状況を把握する。また、専門的な立場から、セルフケア及びラインによるケアを支援し、教育研修の企画及び実施、情報の収集及び提供、助言及び指導等を行う。就業上の配慮が必要な場合には、事業者に必要な意見を述べる。専門的な相談・対応が必要な事例については、事業場外資源との連絡調整に、専門的な立場から関わる。さらに、長時間労働者等に対する面接指導等の実施やメンタルヘルスに関する個人の健康情報の保護についても中心的役割を果たす」としている。

(5)誤り。警察庁の全国の自殺者の統計は、2019年(令和元年)のものが最新であるが、自殺の原因・動機は、多いものから順に、健康問題(9,861)、経済・生活問題(3,395)、家庭問題(3,039)、勤務問題(1,711)となっている。

なお、本肢の2013年(平成25年)のデータでは、多いものから順に、健康問題(13,680)、経済・生活問題(4,636)、家庭問題(3,930)、勤務問題(2,323)となっていた。

  1. 1)労働者の心の健康の保持増進のための指針の「10 定義」の⑥を参照
2020年05月21日執筆