労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生関係法令 問04

放射線測定器を装着させる部位




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合格

 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問04 難易度 電離則であまり過去問に類例のない問題である。やや詳細な内容であり難問だろう。
放射線測定器の装着部位

問4 管理区域内で受けるガンマ線による外部被ばく線量を測定する場合に、放射線業務従事者に放射線測定器を装着させなければならない部位として、電離放射線障害防止規則上、誤っているものは次のうちどれか。

(1)最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が胸・上腕部であり、次に多い部位が頭・頚部である男性の放射線業務従事者・・・胸部

(2)最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であり、次に多い部位が手指である女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の放射線業務従事者・・・頭・頚部及び腹部

(3)最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であり、次に多い部位が腹・大腿部である男性の放射線業務従事者・・・頭・頚部及び腹・大腿部

(4)最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が腹・大腿部であり、次に多い部位が手指である男性の放射線業務従事者・・・腹・大腿部及び胸部

(5)最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が手指であり、次に多い部位が頭・頚部である男性の放射線業務従事者・・・手指、頭・頚部及び胸部

正答(3)

【解説】

本問は電離則第8条第3項に関する問題である。ガンマ線は電離則第2条第1項(第四号)により電離放射線であるから、同8条第1項により、外部被ばくによる線量を測定しなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(定義等)

第2条 この省令で「電離放射線」(以下「放射線」という。)とは、次の粒子線又は電磁波をいう。

一~三 (略)

 ガンマ線及びエツクス線

2~4 (略)

(線量の測定)

第8条 事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。

 前項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、一センチメートル線量当量、三ミリメートル線量当量及び七十マイクロメートル線量当量のうち、実効線量及び等価線量の別に応じて、放射線の種類及びその有するエネルギーの値に基づき、当該外部被ばくによる線量を算定するために適切と認められるものについて行うものとする。

 第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、次の各号に掲げる部位に放射線測定器を装着させて行わなければならない。ただし、放射線測定器を用いてこれを測定することが著しく困難な場合には、放射線測定器によつて測定した線量当量率を用いて算出し、これが著しく困難な場合には、計算によつてその値を求めることができる。

 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部、その他の女性にあつては腹部

 頭・けい部、胸・上腕部及び腹・大たい部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(これらの部位のうち最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあつては胸部・上腕部、その他の女性にあつては腹・大たい部である場合を除く。)

 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・けい部、胸・上腕部及び腹・大たい部以外の部位であるときは、当該最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(中性子線の場合を除く。)

4~6 (略)

※ 電離則第8条第2項は出題時の後(2021年4月施行)に改正されているが、本問の結論に影響はない。

(1)正しい。最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が胸・上腕部であり、次に多い部位が頭・頚部である男性の放射線業務従事者は、以下により胸に装着させる必要がある。

① 男性であるから、電離則第8条第3項第一号により、胸部に装着させる必要がある。

② 頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が胸・上腕部の男性であるから、カッコ書きにより同第二号の適用はない。

③ 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が胸・上腕部であるから、同第三号の適用はない。

(2)正しい。最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であり、次に多い部位が手指である女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の放射線業務従事者は、以下により頭・頚部及び腹部に装着させる必要がある。

① 女性であるから、同第一号により、腹部に装着させる必要がある。

② 頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であるから、同第二号により、頭・頚部に装着させる必要がある。

③ 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であるから、同第三号の適用はない。

(3)誤り。最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であり、次に多い部位が腹・大腿部である男性の放射線業務従事者は、以下により頭・頚部及び胸に装着させる必要がある。

① 男性であるから、同第一号により、胸部に装着させる必要がある。

② 頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であるから、同第二号により、頭・頚部に装着させる必要がある。

③ 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であるから、同第三号の適用はない。

(4)正しい。最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が腹・大腿部であり、次に多い部位が手指である男性の放射線業務従事者は、以下により腹・大腿部及び胸部に装着させる必要がある。

① 男性であるから、同第一号により、胸部に装着させる必要がある。

② 頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が腹・大腿部であるから、同第二号により、腹・大腿部に装着させる必要がある。

③ 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が腹・大腿部であるから、同第三号の適用はない。

(5)正しい。最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が手指であり、次に多い部位が頭・頚部である男性の放射線業務従事者は、以下により手指、頭・頚部及び胸部に装着させる必要がある

① 男性であるから、同第一号により、胸部に装着させる必要がある。

② 頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち、最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頚部であるから、同第二号により、頭・頚部に装着させる必要がある。

③ 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が手指であり、中性子線ではないから、同第三号により、手指に装着させる必要がある。

2021年02月11日執筆 2021年08月14日電離則8条第2項条文修正