労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生関係法令 問03

粉じんの発散を防止するための措置




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合格

 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問03 難易度 粉じん則関連の問題は難問が多い。本年も、詳細な内容であるが、それでも、やや平易だろうか。
粉じん発散防止対策

問3 粉じん作業を行うとき、粉じんの発散を防止するために講じなければならない措置に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、誤っているものはどれか。

(1)屋内の砂型を用いて鋳物を製造する工程において、型ばらし装置により砂型を壊す箇所については、密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならない。

(2)屋内の粉状の酸化チタンを袋詰めする箇所については、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならない。

(3)建設作業中のずい道の内部で、車両系建設機械により土石を積み込む場所における短期間の特定粉じん作業に従事する労働者に対し、電動ファン付き呼吸用保護具を使用させる場合は、湿潤な状態に保つための設備を設置しなくてもよい。

(4)陶磁器を製造する屋内作業場で、粉砕の最大能力が20kg/h未満の据え付式粉砕機を用いて、水又は油の中以外で鉱物を粉砕する場所における特定粉じん作業に従事する労働者に対し、有効な呼吸用保護具を使用させる場合は、密閉する設備、局所排気装置、全体換気装置等の設備を設置しなくてもよい。

(5)研磨剤の吹き付けにより金属を研磨する屋外の作業場所において、密閉する設備や局所排気装置等を設ける等の有効な措置を行わないときは、臨時、短期間又は短時間の粉じん作業である場合を除き、送気マスク又は空気呼吸器を労働者に使用させなければならない。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。粉じん則第4条(表第十号)の規定により、屋内の砂型を用いて鋳物を製造する工程において、型ばらし装置により砂型を壊す箇所については、密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならない。

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

十 別表第二第十四号及び第十五号に掲げる箇所(別表第二第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

(略) (略)

別表第1 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~十四 (略)

十五 砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂型を造型し、砂型を壊し、砂落としし、砂を再生し、砂を混練し、又は鋳ばり等を削り取る場所における作業(第七号に掲げる作業を除く。)。ただし、水の中で砂を再生する場所における作業を除く。

十六~二十三 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~十三 (略)

十四 別表第一第十五号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、型ばらし装置を用いて砂型を壊し、若しくは砂落としし、又は動力(手持式動力工具によるものを除く。)により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇所

十五 (略)

(2)正しい。粉じん則第4条(表第八号)の規定により、屋内の粉状の酸化チタンを袋詰めする箇所については、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならない。

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

八 別表第二第九号及び第十二号に掲げる箇所

一 局所排気装置を設置すること。

二 プッシュプル型換気装置を設置すること。

(略) (略)

別表第1 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~九 (略)

 粉状のアルミニウム又は酸化チタンを袋詰めする場所における作業

十一~二十三 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~八 (略)

 別表第一第九号又は第十号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所

十~十五 (略)

(3)建設作業中のずい道の内部で、車両系建設機械により土石を積み込む場所における作業は、粉じん則別表第2第三号に該当する。従って、原則として同規則第4条(表第二号)により、原則として湿潤な状態に保つための設備又はこれと同等以上の設備を設置しなければならない

しかし、同規則第7条第1項の規定により、短期間の特定粉じん作業に従事する労働者に対し、電動ファン付き呼吸用保護具を使用させる場合は、湿潤な状態に保つための設備の義務は適用除外となる。

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

二 別表第二第一号、第三号及び第四号に掲げる箇所(別表第二第一号に掲げる箇所にあつては、衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所を除く。)

湿潤な状態に保つための設備を設置すること。
(略) (略)

(臨時の粉じん作業を行う場合等の適用除外)

第7条 第四条及び前三条の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、当該特定粉じん作業に従事する労働者に有効な呼吸用保護具(別表第三第一号の二又は第二号の二に掲げる作業に労働者を従事させる場合にあつては、電動ファン付き呼吸用保護具に限る。)を使用させたときは、適用しない。

 臨時の特定粉じん作業を行う場合

 同一の特定粉じん発生源に係る特定粉じん作業を行う期間が短い場合

 同一の特定粉じん発生源に係る特定粉じん作業を行う時間が短い場合

 (略)

別表第1 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~三 (略)

三の二 ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業

四~二十三 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一及び二 (略)

 別表第一第三号又は第三号の二に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、鉱物等をずり積機等車両系建設機械により積み込み、又は積み卸す箇所

四~十五 (略)

(4)陶磁器を製造する屋内作業場で、据え付式粉砕機を用いて、水又は油の中以外で鉱物を粉砕する場所における作業は、粉じん則別表第2第8号に該当する(※)

※ 第11号に該当するわけではない。そもそも粉砕の作業は別表第1の第十三号に該当しない。

従って、同規則第4条(表第七号)により原則として密閉する設備、局所排気装置又は湿潤な状態に保つための設備を設置しなければならない。しかし、粉砕の最大能力が 20kg/h 未満の据え付式粉砕機を用いてこの作業に従事する労働者に対し、有効な呼吸用保護具を使用させる場合は、同第8条第1項(第二号)の規定により、これらの設備の設置は義務付けられない。

しかし、同条第1項第2文により、全体換気装置は設置しなければならない

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

七 別表第二第八号に掲げる箇所(アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

(略) (略)

(研削といし等を用いて特定粉じん作業を行う場合の適用除外)

第8条 第四条の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、当該特定粉じん作業に従事する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させたときは、適用しない。この場合において、事業者は、屋内作業場にあつては全体換気装置による換気を、坑内作業場にあつては換気装置による換気を実施しなければならない。

 (略)

 破砕又は粉砕の最大能力が毎時二十キログラム未満の破砕機又は粉砕機を用いて特定粉じん作業を行う場合

三及び四 (略)

 (略)

別表第1 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~七 (略)

 鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業(第三号、第十五号又は第十九号に掲げる作業を除く。)。ただし、水又は油の中で動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業を除く

九~十二 (略)

十三 陶磁器、耐火物、けい藻土製品又は研磨材を製造する工程において、原料を混合し、若しくは成形し、原料若しくは半製品を乾燥し、半製品を台車に積み込み、若しくは半製品若しくは製品を台車から積み卸し、仕上げし、若しくは荷造りする場所における作業又は窯の内部に立ち入る作業。ただし、次に掲げる作業を除く。

 陶磁器を製造する工程において、原料を流し込み成形し、半製品を生仕上げし、又は製品を荷造りする場所における作業

 水の中で原料を混合する場所における作業

十四~二十三 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~七 (略)

 別表第一第八号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力(手持式動力工具によるものを除く。)により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所

九及び十 (略)

十一 別表第一第十二号から第十四号までに掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、原料を混合する箇所

十二~十五 (略)

(5)屋外の作業場所において研磨剤の吹き付けにより金属を研磨する作業は、粉じん則別表第3第五号に該当する。

※ なお、別表第2第七号には該当しない。屋外の粉じん発生源は、別表第2各号の特定粉じん発生源には該当しないのである。

従って、同規則第27条第1項により、密閉する設備や局所排気装置等を設ける等の有効な措置を行わないときは、臨時、短期間又は短時間の粉じん作業である場合を除き、送気マスク又は空気呼吸器を労働者に使用させなければならない。

【粉じん障害防止規則】

(呼吸用保護具の使用)

第27条 事業者は、別表第三に掲げる作業(次項に規定する作業を除く。)に労働者を従事させる場合(第七条第一項各号又は第二項各号に該当する場合を除く。)にあつては、当該作業に従事する労働者に有効な呼吸用保護具(別表第三第五号に掲げる作業に労働者を従事させる場合にあつては、送気マスク又は空気呼吸器に限る。)を使用させなければならない。ただし、粉じんの発生源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の設置、粉じんの発生源を湿潤な状態に保つための設備の設置等の措置であつて、当該作業に係る粉じんの発散を防止するために有効なものを講じたときは、この限りでない。

2及び3 (略)

別表第1 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~六 (略)

 研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、若しくは金属を裁断する場所における作業(前号に掲げる作業を除く。)

九~二十三 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~六 (略)

 別表第一第七号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、研磨材を用いて動力(手持式又は可搬式動力工具によるものを除く。)により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所

八~十五 (略)

別表第3 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~四 (略)

 別表第一第六号又は第七号に掲げる作業のうち、屋外の、研磨材の吹き付けにより、研磨し、又は岩石若しくは鉱物を彫る場所における作業

六~十七 (略)

2021年02月11日執筆