労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2013年 問4

職場における腰痛予防対策指針




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

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2013年度(平成25年度) 問 4 職場における腰痛予防対策指針について基本的な知識を問う問題である。
腰痛予防対策指針
2021年04月04日執筆

問4 職場における腰痛は、多くの業種および作業においてみられる。そのため、厚生労働省は、「職場における腰痛予防対策指針」を公表している。このことに関し、以下の設問に答えよ。

  • (1)職場における腰痛予防対策に関し、業務上疾病全体に占める腰痛(災害性腰痛)の割合および発生業種別の傾向について説明せよ。

    • 【解説】
      本問は問題文に示されているように、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針及び解説」(以下、「指針及び解説」という。)についての設問である。ただし、本小問は同指針には記されていない。
      なお、「職場における腰痛予防対策指針」は2013年(平成25年)に平成25年6月18日基発0618第1号(以下「平成25年通達」という。)によって改正されていることに留意すること。本問は旧指針を念頭において出題されているものと思われるが、この解説は新指針に基づいて行っている。
      職業性疾病の推移

      図をクリックすると拡大します

      職場における腰痛の業務上疾病全体に占める腰痛(災害性腰痛)の割合は、「業務上疾病発生状況等調査」によれば、右図の赤線グラフに示すように、ほぼ60%前後で推移している(※)。本問出題当時(最新情報は2012年)においても、それは変わらない。
      ※ なお、令和2年(2020年)以降の新型コロナへの感染は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたい。
      なお、労働者死傷病報告による労働災害統計の型別災害には「腰痛」という区分はない。

      職業性疾病の推移

      図をクリックすると拡大します

      業務上疾病発生状況等調査によると、腰痛(災害性腰痛)の発生業種別の傾向は右図に示す通りとなっている。保健衛生業のさらに詳細な分類が欲しいところではあるが、これは同調査には示されていない。
      なお、平成25年通達に「社会福祉施設をはじめとする保健衛生業においては、最近の10年間で発生件数が2.7倍に増加している」との表現がある。

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    • 【解答例】
      職場における腰痛の業務上疾病全体に占める腰痛(災害性腰痛)の割合は、ほぼ60%前後で推移している。
      発生件数を業種別にみると、平成31年(令和元年)において、保健衛生業で約30%、商業・金融・広告業で16%、製造業で16%、運輸交通業で13%などとなっている。いずれの業種においての増加傾向がみられるが、とりわけ保健衛生業においては、平成21年からの10年間で発生件数が1.5倍に増加している。
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  • (2)医療機関を受診する腰痛患者の約85%は「ぎっくり腰」などの非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)である。約15%を占める特異的腰痛(原因が特定できる腰痛)の原因疾患名を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      本小問についても、指針及び解説に記述はない。特異的腰痛には、以下のものがある(※)
      ① 椎間板ヘルニア(4~5%)
      ② 脊柱管狭窄症(4~5%)
      ③ 圧迫骨折(4%)
      ④ 感染性脊椎炎や癌の脊椎転移(1%)
      ⑤ 大動脈瘤、尿路結石などの内臓疾患(1%未満)
      ※ R A Deyo,J Rainville,D L Kent「What can the history and physical examination tell us about low back pain?」(JAMA 268,1992年)
      このうちの2つを答えればよい。無難なところでは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症及び圧迫骨折の中から2つ記した方が良いかもしれない。
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    • 【解答例】
      椎間板ヘルニア及び脊柱管狭窄症
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  • (3)職場における腰痛の発生要因のうち、動作要因、環境要因、個人的要因の三つについて、具体例を挙げよ。
    ① 動作要因

    • 【解説】
      指針の「1 はじめに」に「腰痛の発生要因には、腰部に動的あるいは静的に過度の負担を加える動作要因、腰部への振動、温度、転倒の原因となる床・階段の状態等の環境要因、年齢、性、体格、筋力、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症等の既往症又は基礎疾患の有無等の個人的要因、職場の対人ストレス等に代表される心理・社会的要因がある」とされている。
      そして、指針及び解説の「1 はじめに」の解説部にそれらの具体例が示されている。ここから、挙げておけばよい。
      【腰痛予防指針の解説】
      「1 はじめに」について
      (1)職場における腰痛
        (略)
      (2)腰痛の発生要因
        腰痛の発生要因は、次のイ~ニのように分類され、動作要因、環境要因、個人的要因のほか、心理・社会的要因も注目されている。職場で労働者が実際に腰痛を発生させたり、その症状を悪化させたりする場面において、単独の要因だけが関与することは希で、いくつかの要因が複合的に関与している。
      イ 動作要因
        動作要因には、主として次のようなものがある。
      (イ)重量物の取扱い
        重量物の持上げや運搬等において強度の負荷を腰部に受けること。
      (ロ)人力による人の抱上げ作業
        介護・看護作業等の人力による人の抱上げ作業において腰部に大きな負荷を受けること。
      (ハ)長時間の静的作業姿勢(拘束姿勢)
        立位、椅座位等の静的作業姿勢を長時間とること。
      (ニ)不自然な姿勢
        前屈(おじぎ姿勢)、ひねり及び後屈ねん転(うっちゃり姿勢)等の不自然な作業姿勢をしばしばとること(ロの環境要因が原因で、こうした姿勢が強いられることもある。
      (ホ)急激又は不用意な動作
        物を急に持ち上げるなど急激又は不用意な動作をすること(予期しない負荷が腰部にかかるときに、腰筋等の収縮が遅れるため身体が大きく動揺して腰椎に負担がかかる。)。
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    • 【解答例】
        動作要因には、主として次のようなものがある。
      ① 重量物の取扱い
      ② 人力による人の抱上げ作業
      ③ 長時間の静的作業姿勢(拘束姿勢)
      ④ 不自然な姿勢
      ⑤ 急激又は不用意な動作
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  •   ② 環境要因

    • 【解説】
      小問①と同様に、指針及び解説の「1 はじめに」の解説部から、挙げておけばよい。
      【腰痛予防指針の解説】
      ロ 環境要因
        環境要因には、主として次のようなものがある。
      (イ)振動
        車両系建設機械等の操作・運転により腰部と全身に著しく粗大な振動を受けることや、車両運転等により腰部と全身に長時間振動を受けること。
      (ロ)温度等
        寒冷な環境(寒冷反射による血管収縮が生じ、筋肉が緊張することで十分な血流が保たれず、筋収縮及び反射が高まる)や多湿な環境(湿度が高く、汗の発散が妨げられると疲労しやすく、心理的負担も大きくなる。)に身体を置くこと。
      (ハ)床面の状態
        滑りやすい床面、段差等があること(床面、階段でスリップし、又は転倒すると、労働者の腰部に瞬間的に過大な負荷がかかり、腰痛が発生することがある。)
      (ニ)照明
        暗い場所で作業すること(足元の安全の確認が不十分な状況では転倒や踏み外しのリスクが高まる。)。
      (ホ)作業空間・設備の配置
        狭く、乱雑な作業空間、作業台等が不適切な配置となっていること(作業空間が狭く、配置が不適切で整っていないと、不自然な姿勢が強いられたり、それらが原因で転倒するなど、イの動作要因が生じる。)。
      (ヘ)勤務条件等
        小休止や十分な仮眠が取りにくい、勤務編成が過重である、施設・設備が上手く使えない、一人で勤務することが多い、就労に必要な教育・訓練を十分に受けていないことなど(強い精神的な緊張度を強いられ、ニの心理・社会的要因が生じる。)
    • 【解答例】
        環境要因には、主として次のようなものがある。
      ① 振動
      ② 温度等(寒冷な環境や多湿な環境)
      ③ 床面の状態(滑りやすい床面、段差等がある床面)
      ④ 照明(暗い場所での作業)
      ⑤ 作業空間・設備の配置(狭く乱雑な作業空間、作業台等の不適切な配置)
      ⑥ 勤務条件等(小休止や十分な仮眠が取りにくい、勤務編成が過重である、施設・設備が上手く使えない、一人で勤務することが多い、就労に必要な教育・訓練を十分に受けていないなど)
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  •   ③ 個人的要因

    • 【解説】
      小問①、②と同様に、指針及び解説の「1 はじめに」の解説部から、挙げておけばよい。
      【腰痛予防指針の解説】
      ハ 個人的要因
        個人的要因には、主として次のようなものがある。
      (イ)年齢及び性
        年齢差や性差(一般的に、女性は男性よりも筋肉量が少なく体重も軽いことから、作業負担が大きくなる。)
      (ロ)体格
        体格と、作業台の高さ、作業空間等とが適合していないこと。
      (ハ)筋力等
        握力、腹筋力、バランス能力等(年齢によって変化する。一般的に、女性は男性よりも筋肉量が少ない。)。
      (ニ)既往症及び基礎疾患
        椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折等の腰痛の既往症、血管性疾患、婦人科疾患、泌尿器系疾患等の基礎疾患があること。
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    • 【解答例】
        個人的要因には、主として次のようなものがある。
      ① 年齢及び性
      ② 体格(体格と、作業台の高さ、作業空間等とが適合していない)
      ③ 筋力等(握力、腹筋力、バランス能力等)
      ④ 既往症及び基礎疾患(椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折等の腰痛の既往症、血管性疾患、婦人科疾患、泌尿器系疾患等の基礎疾患があること)
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  • (4)重量物取扱い作業では腰痛の発生が多い。満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う場合の重量の制限について記せ。また、その制限を超える重量物を取り扱わせる場合の留意点を記せ。

    • 【解説】
      満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う場合の重量の制限については、指針別紙の「Ⅰ 重量物取扱い作業」の「2 人力による重量物の取扱い」の(2)によって記述すればよい。また、の制限を超える重量物を取り扱わせる場合の留意点は、同(3)に従って記述すればよい。
      【腰痛予防指針】
      「別紙 作業態様別の対策」
      Ⅰ 重量物取扱い作業
        (略)
      1 自動化、省力化
        (略)
      2 人力による重量物の取扱い
      (1)人力による重量物取扱い作業が残る場合には、作業速度、取扱い物の重量の調整等により、腰部に負担がかからないようにすること。
      (2)満 18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね 40%以下となるように努めること。満18歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとすること。
      (3)(2)の重量を超える重量物を取り扱わせる場合、適切な姿勢にて身長差の少ない労働者2人以上にて行わせるように努めること。この場合、各々の労働者に重量が均一にかかるようにすること。
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    • 【解答例】
      満 18 歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね 40%以下となるように努める。
      その重量を超える重量物を取り扱わせる場合は、適切な姿勢にて身長差の少ない労働者2人以上にて行わせるように努める。その場合、各々の労働者に重量が均一にかかるようにする。
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  • (5)重量物取扱い作業のほかに、腰痛の発生が多い作業を二つ挙げよ。

    • 【解説】
      指針の「1 はじめに」に掲げられている5つの作業から2つを記せばよい。
      【腰痛予防指針】
      1 はじめに
        (略)
        なお、本指針では、一般的な腰痛の予防対策を示した上で、腰痛の発生が比較的多い次に掲げる(1)から(5)までの5つの作業における腰痛の予防対策を別紙に示した。
      (1)重量物取扱い作業
      (2)立ち作業
      (3)座り作業
      (4)福祉・医療分野等における介護・看護作業
      (5)車両運転等の作業
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    • 【解答例】
        重量物取扱い作業のほかに、腰痛の発生が多い作業には次のようなものがある。
      ① 福祉・医療分野等における介護・看護作業
      ② 車両運転等の作業
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  • (6)職場における腰痛予防対策について、次の各項に分けて簡潔に答えよ。
    ① 作業管理

    • 【解説】
      作業管理については、指針「2 作業管理」に記されている。これを記憶している範囲で書いていけばよい。記憶していなければ、その場で考えて書くことになる。腰痛の対策を、作業管理、作業環境管理、健康管理に分けて記述するようにする。
      【腰痛予防指針の解説】
      2 作業管理
      (1)自動化、省力化
      腰部に負担のかかる重量物を取り扱う作業、人を抱え上げる作業、不自然な姿勢を伴う作業では、作業の全部又は一部を自動化することが望ましい。それが困難な場合には、負担を減らす台車等の適切な補助機器や道具、介護・看護等においては福祉用具を導入するなどの省力化を行い、労働者の腰部への負担を軽減すること。
      (2)作業姿勢、動作
      労働者に対し、次の事項に留意させること。
      イ 前屈、中腰、ひねり、後屈ねん転等の不自然な姿勢を取らないようにすること。適宜、前屈や中腰姿勢は膝を着いた姿勢に置き換え、ひねりや後屈ねんてんは体ごと向きを変え、正面を向いて作業することで不自然な姿勢を避けるように心がける。また、作業時は、作業対象にできるだけ身体を近づけて作業すること。
      ロ 不自然な姿勢を取らざるを得ない場合には、前屈やひねり等の程度をできるだけ小さくし、その頻度と時間を減らすようにすること。また、適宜、台に寄りかかり、壁に手を着き、床に膝を着く等をして身体を支えること。
      ハ 作業台や椅子は適切な高さに調節すること。具体的には、立位、椅座位に関わらず、作業台の高さは肘の曲げ角度がおよそ 90 度になる高さとすること。また、椅子座面の高さは、足裏全体が着く高さとすること。
      ニ 立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間取らないようにすること。具体的には、長時間の立位作業では、片足を乗せておくことのできる足台や立位のまま腰部を乗せておくことのできる座面の高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢を取るように心がける。
      ホ 腰部に負担のかかる動作では、姿勢を整え、かつ、腰部の不意なひねり等の急激な動作を避けること。また、持ち上げる、引く、押す等の動作では、膝を軽く曲げ、呼吸を整え、下腹部に力を入れながら行うこと。
      ヘ 転倒やすべり等の防止のために、足もとや周囲の安全を確認するとともに、不安定な姿勢や動作は取らないようにすること。また、大きな物や重い物を持っての移動距離は短くし、人力での階段昇降は避け、省力化を図ること。
      (3)作業の実施体制
      イ 作業時間、作業量等の設定に際しては、作業に従事する労働者の数、作業内容、作業時間、取り扱う重量、自動化等の状況、補助機器や道具の有無等が適切に割り当てられているか検討すること。
      ロ 特に、腰部に過度の負担のかかる作業では、無理に1人で作業するのではなく、複数人で作業できるようにすること。また、人員配置は、労働者個人の健康状態(腰痛の有無を含む。)、特性(年齢、性別、体格、体力、等)、技能・経験等を考慮して行うこと。健康状態は、例えば、4の(1)の健康診断等により把握すること。
      (4)作業標準
      イ 腰痛の発生要因を排除又は低減できるよう、作業動作、作業姿勢、作業手順、作業時間等について、作業標準を策定すること。
      ロ 作業標準は、個々の労働者の健康状態・特性・技能レベル等を考慮して個別の作業内容に応じたものにしていく必要があるため、定期的に確認し、また新しい機器、設備等を導入した場合にも、その都度見直すこと。
      (5)休憩・作業量、作業の組合せ等
      イ 適宜、休憩時間を設け、その時間には姿勢を変えるようにすること。作業時間中にも、小休止・休息が取れるようにすること。また、横になって安静を保てるよう十分な広さを有し、適切な温度に調節できる休憩設備を設けるよう努めること。
      ロ 不自然な姿勢を取らざるを得ない作業や反復作業等を行う場合には、他の作業と組み合わせる等により、当該作業ができるだけ連続しないようにすること。
      ハ 夜勤、交代勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにすること。
      ニ 過労を引き起こすような長時間勤務は避けること。
      (6)靴、服装等
      イ 作業時の靴は、足に適合したものを使用すること。腰部に著しい負担のかかる作業を行う場合には、ハイヒールやサンダルを使用しないこと。
      ロ 作業服は、重量物の取扱い動作や適切な姿勢の保持を妨げないよう、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとすること。
      ハ 腰部保護ベルトは、個人により効果が異なるため、一律に使用するのではなく、個人毎に効果を確認してから使用の適否を判断すること。
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    • 【解答例】
      1 自動化、省力化
      腰部に負担のかかる作業の全部又は一部を自動化する。自動化が困難な場合は、補助機器や道具、福祉用具等の導入などにより腰部への負担を軽減する。
      2 作業姿勢、動作
      労働者に対し、次の事項に留意させること。
      (1)不自然な姿勢を取らない、作業対象にできるだけ身体を近づけて作業するなど、作業姿勢に留意すること。
      (2)不自然な姿勢を取るときは、その程度をできるだけ小さし、また、その頻度と時間を減らすこと。併せて、適宜、身体を支えるようにすること。
      (3)作業台や椅子を適切な高さに調節すること。
      (4)立位、椅座位等で、同一姿勢を長時間取らないようにすること。
      (5)腰部に負担のかかる動作では、姿勢を整え、腰部の急激な動作を避けること。また、力を入れる動作では、膝を軽く曲げ、呼吸を整え、下腹部に力を入れるようにすること。
      (6)足もとや周囲の安全を確認するとともに、不安定な姿勢や動作は取らないようにすること。また、重量物等を持っての移動距離を短くし、人力での階段昇降は避けること。
      3 作業の実施体制
      (1)作業時間、作業量等の設定に際して、労働者の数、作業内容、作業時間、取り扱う重量、自動化等の状況、補助機器や道具の有無等を適切に割り当てること。
      (2)腰部に過度の負担のかかる作業では、複数人で作業できるようにすること。また、人員配置は、労働者個人の健康状態、特性、技能・経験等を考慮して行うこと。
      4 作業標準
      (1)腰痛の発生要因を排除又は低減できるよう、作業標準を策定すること。
      (2)作業標準を定期的に確認し、また新しい機器、設備等を導入した場合にも見直すこと。
      5 休憩・作業量、作業の組合せ等
      (1)適宜、休憩時間を設け、その時間には姿勢を変えるようにすること。作業時間中にも、小休止・休息が取れるようにすること。また、横臥でき、温度を調節できる休憩設備を設けるよう努めること。
      (2)不自然な姿勢を取らざるを得ない作業や反復作業等は、連続しないようにすること。
      (3)夜勤、交代勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにすること。
      (4)過労を引き起こすような長時間勤務は避けること。
      6 靴、服装等
      (1)作業時の靴は、足に適合したものを使用すること。腰部に著しい負担のかかる作業を行う場合には、ハイヒールやサンダルを使用しないこと。
      (2)作業服は、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとすること。
      (3)腰部保護ベルトは、個人毎に使用の適否を判断すること。
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  •   ② 作業環境管理

    • 【解説】
      作業環境管理については、指針「3 作業環境管理」に記されている。作業管理同様に記述してゆく。作業管理と作業管理の区分に留意すること。
      【腰痛予防指針の解説】
      3 作業環境管理
      (1)温度
      寒冷ばく露は腰痛を悪化させ、又は発生させやすくするので、屋内作業場において作業を行わせる場合には、作業場内の温度を適切に保つこと。また、冬季の屋外のように低温環境下で作業させざるを得ない場合には、保温のための衣服の着用や暖房設備の設置に配慮すること。
      (2)照明
      作業場所、通路、階段等で、足もとや周囲の安全が確認できるように適切な照度を保つこと。
      (3)作業床面
      労働者の転倒、つまずきや滑りなどを防止するため、作業床面はできるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れたものとすることが望ましい。
      (4)作業空間や設備、荷の配置等
      作業そのものや動作に支障をきたすような機器や設備の配置や整理整頓が不十分で雑然とした作業空間、狭い作業空間は、腰痛の発生や症状の悪化につながりやすいことから、作業そのものや動作に支障がないよう十分に広い作業空間を確保し、2の(2)のように作業姿勢、動作が不自然にならないよう、機器・設備、荷の配置、作業台や椅子の高さ等に配慮を行うこと。
      (5)振動
      車両系建設機械の操作・運転等により腰部と全身に著しく粗大な振動、あるいは、車両運転等により腰部と全身に長時間振動を受ける場合、腰痛の発生が懸念されることから、座席等について振動ばく露の軽減対策をとること。
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    • 【解答例】
      1 温度
      屋内作業場の温度を適切に保つこと。また、低温環境下で作業させざるを得ない場合は、保温のための衣服の着用や暖房設備の設置に配慮すること。
      2 照明
      作業場所、通路、階段等で、足もとや周囲の安全が確認できるように適切な照度を保つこと。
      3 作業床面
      作業床面はできるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れたものとすること。
      4 作業空間や設備、荷の配置等
      作業や動作に支障がない十分に広い作業空間を確保し、作業姿勢、動作が不自然にならないよう、機器・設備、荷の配置、作業台や椅子の高さ等を配慮すること。
      5 振動
      車両系建設機械の操作・運転等では、座席等について振動ばく露の軽減対策をとること。
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  •   ③ 健康管理

    • 【解説】
      健康管理については、指針「4 健康管理」に記されている。作業管理、作業環境感と同様に記述すればよい。健康管理は、指針の内容を記憶していなくとも比較的解答を書きやすいだろう。
      【腰痛予防指針の解説】
      3 健康管理
      (1)健康診断
      重量物取扱い作業、介護・看護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次のとおり医師による腰痛の健康診断を実施すること。
      イ 配置前の健康診断
        配置前の労働者の健康状態を把握し、その後の健康管理の基礎資料とするため、配置前の健康診断の項目は、次のとおりとすること。
      (イ)既往歴(腰痛に関する病歴及びその経過)及び業務歴の調査。
      (ロ)自覚症状(腰痛、下肢痛、下肢筋力減退、知覚障害等)の有無の検査。
      (ハ)脊柱の検査:姿勢異常、脊柱の変形、脊柱の可動性及び疼痛、腰背筋の緊張及び圧痛、脊椎棘突起の圧痛等の検査。
      (ニ)神経学的検査:神経伸展試験、深部腱反射、知覚検査、筋萎縮等の検査。
      (ホ)脊柱機能検査:クラウス・ウェーバーテスト又はその変法(腹筋力、背筋力等の機能のテスト)
      なお、医師が必要と認める者については、画像診断と運動機能テスト等を行うこと。。
      ロ 定期健康診断
      (イ)定期に行う腰痛の健康診断の項目は、次のとおりとすること。
      a 既往歴(腰痛に関する病歴及びその経過)及び業務歴の調査
      b 自覚症状(腰痛、下肢痛、下肢筋力減退、知覚障害等)の有無の検査
      (ロ)(イ)の健康診断の結果、医師が必要と認める者については、次の項目についての健康診断を追加して行うこと。
      a 脊柱の検査:姿勢異常、脊柱の変形、脊柱の可動性及び疼痛、腰背筋の緊張及び圧痛、脊椎棘突起の圧痛等の検査
      b 神経学的検査:神経伸展試験、深部腱反射、知覚検査、徒手筋力テスト、筋萎縮等の検査
      なお、医師が必要と認める者については、画像診断と運動機能テスト等を行うこと。。
      ハ 事後措置
      事業者は、腰痛の健康診断の結果について医師から意見を聴取し、労働者の腰痛を予防するため必要があると認めるときは、2の(3)の作業の実施体制を始め、作業方法等の改善、作業時間の短縮等、就労上必要な措置を講ずること。また、睡眠改善や保温対策、運動習慣の獲得、禁煙、健康的なストレスコントロール等の日常生活における腰痛予防に効果的な内容を助言することも重要である。
      (2)腰痛予防体操
      重量物取扱い作業、介護・看護作業等の腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対し、適宜、筋疲労回復、柔軟性、リラクセーションを高めることを目的として、腰痛予防体操を実施させること。なお、腰痛予防体操を行う時期は作業開始前、作業中、作業終了後等が考えられるが、疲労の蓄積度合い等に応じて適宜、腰痛予防体操を実施する時間・場所が確保できるよう配慮すること。
      (3)職場復帰時の措置
      腰痛は再発する可能性が高いため、休業者等が職場に復帰する際には、事業者は、産業医等の意見を十分に尊重し、腰痛の発生に関与する重量物取扱い等の作業方法、作業時間等について就労上必要な措置を講じ、休業者等が復帰時に抱く不安を十分に解消すること。
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    • 【解答例】
      1 健康診断
      著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対して、作業に配置する際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を実施すること。
      また、健康診断の結果について医師から意見を聴取し、労働者の腰痛を予防するため必要があると認めるときは、作業の実施体制を始め、作業方法等の改善、作業時間の短縮等、就労上必要な措置を講ずること。
      その際に、睡眠改善や保温対策、運動習慣の獲得、禁煙、健康的なストレスコントロール等の日常生活における腰痛予防に効果的な内容を助言することも重要である。
      2 腰痛予防体操
      重量物取扱い作業、介護・看護作業等の腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対し、適宜、筋疲労回復、柔軟性、リラクセーションを高めることを目的として、腰痛予防体操を実施させること。
      3 職場復帰時の措置
      腰痛は再発する可能性が高いため、休業者等が職場に復帰する際に、産業医等の意見を十分に尊重し、腰痛の発生に関与する重量物取扱い等の作業方法、作業時間等について就労上必要な措置を講じ、休業者等が復帰時に抱く不安を十分に解消すること。
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