労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生一般 問12

労働者の健康の保持増進のための指針




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問12 難易度 THP指針が改正されたため、ほとんどの肢が現在では意味のない問題である。
THP指針

問12 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)健康測定は、健康診断とは名称が異なるだけで、主な目的は健康診断と同様に疾病の早期発見である。

(2)運動プログラムの作成に参考とされる運動機能検査は、健康測定における必須項目ではない。

(3)健康測定における問診、診察及び医学的検査は、定期健康診断の結果で代替することができない。

(4)産業保健指導担当者は、健康測定の結果に基づき、健康指導を行うための指導票を作成する。

(5)健康保持増進措置を実施するスタッフの確保が困難な場合は、その業務を企業外健康診断機関に委託できる。

正答(2)現在では意味がない。

【解説】

事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)は、昭和63年に策定され、その後4度に渡って改正されている。そのうち2回はこの2013年のコンサルタント試験の終了後である。そのため本問は、現時点では意味のない内容となっている(リンクは改正後の指針)。

THP指針に関する問題は、2015年と2019年にも出題されてはいるが、ただ、今後のコンサルタント試験における重要性がそれほど高いとは思えない。あまりTHPに拘ることは学習の効率を下げるかもしれない。

(1)誤り。健康測定は、指針において「健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断を活用しつつ、追加で生活状況調査や医学的検査等を実施するものである」とされている。疾病の早期発見が目的ではない。

(2)出題当時は正しい肢であった。現行の指針では、運動機能検査という概念が存在していない。

(3)誤り。旧指針に「問診、診察及び医学的検査の一部について、労働安全衛生法第 66 条第1項の規定に基づく健康診断をもって代替することや問診の一部について、労働安全衛生法第 66 条の 10 の規定に基づく心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)の結果を利用することも可能である」という表現があった。

現行指針は、あまり詳細に健康測定の内容を定めておらず、旧指針のこのような表現も削除されているが、禁止されていない以上、個人情報保護法等の規定に留意しさえすればできないはずがない。

(4)意味がない。現行指針には「産業保健指導担当者」という概念がない。なお、旧指針では、健康測定の結果に基づき、健康指導を行うための指導票を作成するのは産業医の役割であった。

(5)意味がない。現行指針には外部機関へ委託することについての規定がない。なお、旧指針においては、健康保持増進措置を実施するスタッフの確保が困難な場合は、その業務を「労働者健康保持増進サービス機関」に委託できることとされており、誤った肢であった。

2021年02月20日執筆