労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生関係法令 問06

電離放射線障害防止規則




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問06 難易度 電離則に関する基本的な知識問題である。やや詳細な内容の肢もあるが、正答できなければならない。
電離則

問6 電離放射線障害防止に関する次の記述のうち、電離放射線障害防止規則上、誤っているものはどれか。

(1)放射性物質を保管廃棄するときは、外部と区画された構造であり、かつ、扉、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた保管廃棄施設において行わなければならない。

(2)管理区域(労働者の身体、装具等が一定の汚染をされるおそれのあるものに限る。)の出口に汚染検査場所を設け、当該作業室において作業に従事した労働者がその室から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない。

(3)放射性物質の廃棄のために一時ためておく容器には、その放射性物質の種類及び気体、液体又は固体の区別のほか、その放射性物質に含まれる放射性同位元素の人体に及ぼす影響を明記しなければならない。

(4)放射性物質取扱作業室内では、労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業室の見やすい箇所に表示しなければならない。

(5)放射性物質取扱作業室内において労働者を作業に従事させるときは、専用の作業衣を備え、これをその作業に従事する労働者に使用させなければならない。

※ 平成25年4月の電離放射線障害防止規則改正に伴い、問題文を一部修正した。

(3)

【解説】

(1)正しい。電離則第36条第2項により、事業者は、放射性物質を保管廃棄するときは、外部と区画された構造であり、かつ、扉、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた保管廃棄施設において行わなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(保管廃棄施設)

第36条 事業者は、放射性物質又は汚染物を保管廃棄するときは、外部と区画された構造であり、かつ、とびら、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた保管廃棄施設において行なわなければならない。

 (略)

(2)正しい。電離則第31条第1項により、事業者は、管理区域(労働者の身体、装具等が一定の汚染をされるおそれのあるものに限る。)の出口に汚染検査場所を設け、当該作業室において作業に従事した労働者がその室から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない。

※ オリジナルの本肢は「放射性物質取扱作業室の出口に汚染検査場所を設け、当該作業室において作業に従事した労働者がその室から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない」とされていた。当時の電離則第31条第1項は、「事業者は、放射性物質取扱作業室の出口に汚染検査場所を設け、放射性物質取扱作業室において作業に従事させた労働者がその室から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない」となっており、やはり正しい肢であった。

平成25年4月12日厚生労働省令第57号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令」(通達)により、電離則が改正されたため、問題文を一部修正したものである。

【電離放射線障害防止規則】

(退去者の汚染検査)

第31条 事業者は、管理区域(労働者の身体若しくは装具又は物品が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて汚染されるおそれのあるものに限る。以下この条及び次条において同じ。)の出口に汚染検査場所を設け、管理区域において作業に従事させた労働者がその区域から退去するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない。

2及び3 (略)

(3)誤り。電離則第31条第4項により、放射性物質の廃棄のために一時ためておく容器には、その放射性物質の種類及び気体、液体又は固体の区別のほか、その放射性物質に含まれる放射性同位元素の種類及び数量を明記しなければならない。

その放射性物質に含まれる放射性同位元素の人体に及ぼす影響を明示するのではない。人体に及ぼす影響は、放射性物質の種類によって大きく異なるわけではない。放射性同位元素の種類及び数量を明示しておきさえすれば、人体に及ぼす影響を明示する必要性はあまり大きくはない。

【電離放射線障害防止規則】

(容器)

第37条 (第1項~第3項 略)

 事業者は、放射性物質を保管し、貯蔵し、運搬し、又は廃棄のために一時ためておく容器には、次の事項を明記しなければならない。

 その放射性物質の種類及び気体、液体又は固体の区別

 その放射性物質に含まれる放射性同位元素の種類及び数量

(4)正しい。電離則第41条の2第1項により、事業者は、放射性物質取扱作業室内では、労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業室の見やすい箇所に表示しなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(喫煙等の禁止)

第41条の2 事業者は、放射性物質取扱作業室その他の放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある作業場で労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業場の見やすい箇所に表示しなければならない。

 (略)

(5)正しい。電離則第40条により、事業者は、放射性物質取扱作業室内において労働者を作業に従事させるときは、専用の作業衣を備え、これをその作業に従事する労働者に使用させなければならない。

【電離放射線障害防止規則】

(作業衣)

第40条 事業者は、放射性物質取扱作業室内において労働者を作業に従事させるときは、専用の作業衣を備え、これをその作業に従事する労働者に使用させなければならない。

2021年12月30日執筆