労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生関係法令 問01

事業場の安全衛生管理体制




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 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問01 難易度 安全衛生管理についての基本的な知識問題である。正答できなければならない。
労働安全衛生管理体制

問1 安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。

(1)常時300人以上の労働者を使用する通信業の事業場では、総括安全衛生管理者が統括管理する労働災害防止のための業務のうち、安全管理者は安全に係る技術的事項を、衛生管理者は衛生に係る技術的事項を、産業医は労働者の健康管理等に関する医学的事項を、それぞれ管理するとともに、産業医及び衛生管理者は少なくとも毎月1回以上作業場等を巡視して労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

(2)常時500人を超え1000人以下の労働者を使用する電気業の事業場で、著しく暑熱な場所における業務に常時30人以上の労働者が従事している場合は、衛生管理者として衛生工学衛生管理者免許を有する者1人のほか、第1種衛生管理者免許を有する者、衛生工学衛生管理者免許を有する者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント又は厚生労働大臣の定める者のうちから衛生管理者を選任し、当該事業場で合計3人以上の衛生管理者を選任しなければならない。

(3)常時3000人以上の労働者を使用する製造業の事業場では、水銀、砒素、塩酸等の化学物質を取り扱う業務その他の有害業務に従事する労働者が500人以下である場合を除き、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について所定の要件を備えた医師を産業医として2人以上選任しなければならない。

(4)業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生委員会を設けて毎月1回以上開催し、労働者の健康障害を防止するための基本となる対策、安全衛生に関する計画の作成、定期健康診断等の実施結果及びその結果に対する対策、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策等の事項について調査審議を行い、会議の議事概要を四半期ごとにまとめて労働者に周知しなければならない。

(5)衛生委員会においては総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者が議長となるが、議長以外の委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の指名に基づいて選任しなければならない。

(2)

【解説】

(1)以下により誤り。

① 本肢では直接問われているわけではないが、常時300人以上の労働者を使用する通信業の事業場では、安衛法第10条第1項(及び安衛令第2条(第二号))により、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせる必要がある。

② 安全管理者が、総括安全衛生管理者が統括管理する労働災害防止のための業務のうち、安全に係る技術的事項を管理すべきことは、同法第11条第1項により正しい。

③ 衛生管理者が、総括安全衛生管理者が統括管理する労働災害防止のための業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理すべきことは、同法第12条第1項により正しい。

④ 産業医が、総括安全衛生管理者が統括管理する労働災害防止のための業務のうち、労働者の健康管理等に関する医学的事項を管理すべきことは、同法第13条第1項(及び安衛則第14条第1項)により正しいといってよいであろう。

なお、このことは、産業医が事業者に対して勧告権があるなど、事業者から独立している面があることとは関係がない。

⑤ 本肢が、衛生管理者は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視して労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないとしていることは、安衛則第11条により誤りである。衛生管理者が行うべき職場巡視は、1月以内ごとに1回ではなく1週ごとに1回である

⑥ 産業医が、少なくとも毎月1回作業場等を巡視して労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないことは、安衛則第15条により原則としては正しい。

しかし、出題当時は産業医の職場巡視は少なくとも1月に1回以上行わなければならなかったが、現時点では、産業医の職場巡視は2か月に1回で許される場合がある。従って、現時点においては厳密には誤っているといえよう。

【労働安全衛生法】

(総括安全衛生管理者)

第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。

 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。

 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

2及び3 (略)

(安全管理者)

第11条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

 (略)

(衛生管理者)

第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

 (略)

(産業医等)

第13条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

2~6 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)

第2条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第十条第一項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。

 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人

 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人

 その他の業種 千人

【労働安全衛生規則】

(衛生管理者の定期巡視及び権限の付与)

第11条 衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 (略)

(産業医及び産業歯科医の職務等)

第14条 法第十三条第一項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。

 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。

 法第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導並びに法第六十六条の九に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。

 法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。

 作業環境の維持管理に関すること。

 作業の管理に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。

 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。

 衛生教育に関すること。

 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

2~6 (略)

(産業医の定期巡視)

第15条 産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果

 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

(2)正しい。以下により正しい。

① 常時500人を超え1000人以下の労働者を使用する事業場では、(業種によらず)3人以上の衛生管理者を選任しなければならないことは、安衛則第7条第1項第四号の表から正しい。

② 衛生管理者は、第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント若しくは厚生労働大臣の定める者から選任しなければならないことは、安衛則第7条第1項第三号(及び同規則第10条)により正しい。

④ なお、衛生工学衛生管理者免許を有する者1人を選任しなければならないことは、同項第六号(及び労基則第18条(第一号))により正しい。

【労働安全衛生法】

(衛生管理者)

第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(衛生管理者)

第4条 法第十二条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

【労働安全衛生規則】

(衛生管理者の選任)

第7条 法第十二条第一項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。

一及び二 (略)

 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。

 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第十条各号に掲げる者

 (略)

 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。

事業場の規模
(常時使用する労働者数)
衛生管理者数
五十人以上二百人以下 一人
二百人を超え五百人以下 二人
五百人を超え千人以下 三人
千人を超え二千人以下 四人
二千人を超え三千人以下 五人
三千人を超える場合 六人

 (略)

 常時五百人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第十八条第一号、第三号から第五号まで若しくは第九号に掲げる業務に常時三十人以上の労働者を従事させるものにあつては、衛生管理者のうち一人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任すること。

 (略)

(衛生管理者の資格)

第10条 法第十二条第一項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次のとおりとする。

 医師

 歯科医師

 労働衛生コンサルタント

 前三号に掲げる者のほか、厚生労働大臣の定める者

【労働基準法施行規則】

第18条 法第三十六条第六項第一号の厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務は、次に掲げるものとする

 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

二~十 (略)

(3)誤り。以下により誤りの肢となる。

① 安衛則第13条第1項(第四号)は、常時3,000人をこえる労働者を使用する事業場について2人以上の産業医を選任しなければならないとしている。常時3,000人以上の労働者を使用する事業場ではない。

② 安衛則第13条第1項(第四号)は業種、事業場規模、有害業務の有無等によって、常時使用する労働者の人数を区別していない。産業医を複数選任する必要性は、業種、事業場規模、有害業務の有無等によっては変わらないと省令制定者は考えていたのである。

水銀、砒素、塩酸等の化学物質を取り扱う業務その他の有害業務に従事する労働者が500人以下である場合を除くという除外規定はない。

③ 産業医は、安衛法第13条第2項の規定により、業種、事業場規模、有害業務の有無にかかわらず、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

これについても、水銀、砒素、塩酸等の化学物質を取り扱う業務その他の有害業務に従事する労働者が500人以下である場合を除くという除外規定はない。労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を備えていない医師が、産業医の職務を務められるわけがなかろう。

※ ただし、結論が変わるわけではないが、②及び③については正しいと考える余地はある。「水銀、砒素、塩酸等の化学物質を取り扱う業務その他の有害業務に従事する労働者が500人以下である場合」以外の事業者については、確かに労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について所定の要件を備えた医師を産業医として2人以上選任しなければならないことはその通りだからである。

わかりにくければ、本肢は、「水銀、砒素、塩酸等の化学物質を取り扱う業務その他の有害業務に従事する労働者が500人以下である場合については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について所定の要件を備えた医師を産業医として2人以上選任しなくてもよい」とはどこにも書かれていないと言い換えてもよい。

「何を馬鹿な!『除く』と明確に書いてあるじゃないか」ですって? いいでしょう。では、本サイトの「条文に『除く』とあったら除いてよいか」を読んで頂きましょう。法令では「除く」とあっても、除いたものにはそのことを適用しないという意味はないのである。本肢も同じだと考えると、②及び③については、正しいと考える余地があるわけだ。

閑話休題それはさておき、本肢が「常時3000人以上」となっているのは、もしかすると問題作成者が「常時3000人を超える」としていたのを、最終段階でチェックをした厚労省の担当者が不安を感じて確実に誤りの肢にするために、ちょこっと修正したのかもしれない。

というのは、労働安全衛生コンサルタント試験では、「以上」と「超える」、「以下」と「未満」を入れ替えて問題を誤りの肢とすることはあまりしない傾向があるからだ。現場の実務では、常時雇用しているかどうかの判断は意外と難しいばかりか、常時雇用する労働者が300人もいると日常的に辞めたり新たに雇用したりして変動することも多く、通常は1人や2人の違いがシビアな問題になることはない。「以上」と「超える」、「以下」と「未満」の違いなど誰も気にしてはいないのだ。

【労働安全衛生法】

(産業医等)

第13条 (第1項略)

 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

3~6 (略)

【労働安全衛生規則】

(産業医の選任等)

第13条 法第十三条第一項の規定による産業医の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。

一~三 (略)

 常時三千人をこえる労働者を使用する事業場にあつては、二人以上の産業医を選任すること。

2~6 (略)

(産業医及び産業歯科医の職務等)

第14条 (第1項 略)

 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。

 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者

 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの

 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの

 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者

 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

3~7 (略)

(4)誤り。以下により誤りの肢となる。

① 業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場で、衛生委員会を設けなければならないことは、安衛法第18条第1項(及び安衛令第9条)により正しい。

② 業種にかかわらず、衛生委員会を設置しなければならない事業場で、毎月1回以上開催しなければならないことは安衛則第23条第1項により正しい。

③ 衛生委員会で、労働者の健康障害を防止するための基本となる対策、安全衛生に関する計画の作成、定期健康診断等の実施結果及びその結果に対する対策、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策等の事項について調査審議を行うべきことは、安衛法第18条第1項(及び安衛則第23条第2項)により正しい。

④ しかしながら、安衛則第23条第2項により、事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を労働者に周知させなければならない。四半期ごとにまとめて労働者に周知するとしているのは誤りである。

【労働安全衛生法】

(衛生委員会)

第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること

 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(衛生委員会を設けるべき事業場)

第9条 法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

【労働安全衛生規則】

(衛生委員会の付議事項)

第22条 法第十八条第一項第四号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。

一及び二 (略)

 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。

四~六 (略)

 定期に行われる健康診断、法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第六十六条の二の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。

八及び九 (略)

 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

十一 (略)

(委員会の会議)

第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。

 (略)

事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。

一~三 (略)

4及び5 (略)

(5)誤り。以下により誤りの肢となる。

① 衛生委員会においては総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者が議長となることは、安衛法第18条第4項(及び同法第17条第3項)により正しい。

② しかしながら、同第18条第4項が準用する同第17条第4項の規定により、議長以外の委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて指名しなければならない。指名に基づいて選任するわけではない。

また、この条項は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、適用されない。その意味でも誤りとなる。

ただし、「推薦」だからと言って、推薦された者以外の者から選任できるわけではない。実質的には指名に基づいて選任しなければならないのと同じことである。

【労働安全衛生法】

(安全委員会)

第17条 (第1項及び第2項 略)

 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。

 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

 前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

(衛生委員会)

第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一~四 (略)

 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。(略)

 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

二~四 (略)

 (略)

 前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。

2021年12月25日執筆 2021年12月28日最終修正