労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生一般 問05

振動障害予防対策指針(チェーンソー以外)




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問05 難易度 振動障害防止対策の基本に関する問題である。これが正答できないようでは合格は難しいだろう。
振動障害防止指針

問5 厚年労働省の「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)コンクリートブレーカーについては、作業に必要とする大部分の推力が機械力又はその自重で得られるものを選定する。

(2)使用する工具の周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値と、1日の振動ばく露時間から日振動ばく露量を求め、作業時間の管理を行う。

(3)削岩機により削孔、掘削、はつり等を行うときは、たがねを手で保持して作業を行うようにする。

(4)振動工具を操作する際には、肩、腹、腰等手以外の部分で工具を押す等工具の振動が直接身体に伝わる作業方法は避けるようにする。

(5)石材を研削する業務に使用するといしの直径が150mmを超える携帯用研削盤は、使用に伴って作用点から発生する振動が、発生部分以外の部分へ伝達しにくいものを選定する。

正答(3)

【解説】

本肢は、問題本文にもあるように「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」(以下本問の解説において「指針」という。)に関する問題である。

(1)正しい。コンクリートブレーカーは、指針の「別紙1 チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針対象工具」の(1)に定められており、指針の「2 振動工具の選定基準」の(1)が適用される。

従って、「2 振動工具の選定基準」の(1)のイの(イ)により、作業に必要とする大部分の推力が機械力又はその自重で得られるものを選定する。

(2)正しい。使用する工具の周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値と、1日の振動ばく露時間から、次式により日振動ばく露量を求める。

日振動ばく露量:A8=a×T8m/s2

A[m/s2]:周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値

T[時間]:1日の振動ばく露時間

日振動ばく露量から、以下により、作業時間の管理を行う。

  • 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えることがないよう振動ばく露時間の抑制、低振動の振動工具の選定等を行う。
  • 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えない場合であっても日振動ばく露対策値(2.5m/s2)を超える場合には振動ばく露時間の抑制、低振動の振動工具の選定等の対策に努める。
  • 日振動ばく露限界値(5.0m/s2)に対応した1日の振動ばく露時間(以下「振動ばく露限界時間」TLという。)を次式、別紙2の表等により算出し、これが2時間を超える場合には、当面、1日の振動ばく露時間を2時間以下とする。
  • 振動ばく露時間:AL=200a2[時間]

    (a[m/s2]は周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値)

(3)誤り。指針「4 工具の操作時の措置」の(1)のウにより、削岩機により削孔、掘削、はつり等を行うときは、たがねを手で保持してはならない。

そもそも、最も激しく振動するたがねの部分を手で保持するべきではないことは分かるだろう(※)

※ 削岩機がどのようなものか分からないという場合は、厚労省のパンフレット「振動障害の予防のために」の表紙の右側の図を参照して頂きたい。

(4)正しい。指針「4 工具の操作時の措置」の(2)のイにより、振動工具を操作する際には、肩、腹、腰等手以外の部分で工具を押す等工具の振動が直接身体に伝わる作業方法は避けるようにする。

(5)正しい。石材を研削する業務に使用するといしの直径が150mmを超える携帯用研削盤は、、指針の「別紙1 チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針対象工具」の(5)に定められており、指針の「2 振動工具の選定基準」の(1)が適用される。

従って、「2 振動工具の選定基準」の(1)のアの(イ)により、石材を研削する業務に使用するといしの直径が150mmを超える携帯用研削盤は、使用に伴って作用点から発生する振動が、発生部分以外の部分へ伝達しにくいものを選定する。

2022年01月07日執筆