プロローグ(はじめに)
※ イメージ図(©photoAC)
イスラエルは、パレスチナに対して、ヨルダン川西岸は入植地を拡大し、ガザは周囲を完全に封鎖するという戦略をとってきました。ガザには入植地がないこともあり、イスラエルは繰り返し無差別爆撃を繰り返しています。
2008年から2023年の10月7日直前までのイスラエルによるガザへの攻撃により、パレスチナ側は10,559が死亡し、多くは民間人です。一方、パレスチナ側の抵抗によりイスラエル側にも881人の死者が出ていますが、大半は兵士です(※)。
※ 死者数は、イスラエルの人権組織 B’TSELEM のFatalities: All data [Explanation]による。
2023年10月7日に、ハマスがイスラエルの軍事施設への攻撃を行い、そのときの攻撃対象の一つに民間主催の音楽祭が含まれていて、民間人を人質として(※)連れ去ったことを理由として、イスラエルによるガザへの前例のない攻撃が行われています。
※ 当初、イスラエルはハマスによる残虐行為があったと主張していたが、それが誤りであったことは後にイスラエルも認めている。また、音楽祭における民間人の死者はイスラエル軍によるものも多いとの見方も出ている。
問題は、イスラエルによる攻撃が、病院、学校、文書館、民間施設などを直接の攻撃対象としていること、イスラエルが指定した民間人の避難経路や避難先が爆撃されたり、医療従事者や報道記者が狙撃されるなど、民間人の殺害を直接の目的としていると考えられることです。
イスラエルによる封鎖のため、民間人のための医薬品、食糧、水、燃料なども極度に不足しており、まさにホロコーストが遂行されていると考えざるを得ない状況となっています。
このようなイスラエルの行動は、イスラエル国内外での強い批判を生んでおり、中東諸国のみならず、欧米諸国でも市民による抗議活動が行われています。米国内(及びイスラエルでも)のユダヤ人組織もイスラエルの攻撃を批判するなど、批判の声はユダヤ人を含む全世界の市民の間に広まっています。
ところが、欧米及び日本の政府はイスラエルの行動を支持しています。このようなことは第二次世界大戦前のチェンバレンによる対独融和政策と同様な問題を孕んでおり、日本を含む世界的な排外主義の不気味な拡大と合わせて、今後の国際的な経済活動に重大なリスクをもたらしかねません。
私たちが目指すべきは、パレスチナ人とユダヤ人がともに平和に生きられる社会です。パレスチナ人とユダヤ人の友好が実現し、ともに若者が未来に夢を持てる社会の実現なのです。しかし、その実現のためには、イスラエルに対する国際的な圧力が必要です。そのためには私たち市民が何をなすべきかを説き起こします。
パレスチナ問題コンテンツ
イスラエル建国からレバノン戦争まで ニセ「和平」への動き(オスロ合意)とその後の動き 10月7日事件とは何だったのか2023年10月7日のハマスによる攻撃は、イスラエルによるパレスチナへの植民地支配と切り離して考えることはできせん。また、その後、当初報じられたイメージとは大きく異なることが明らかになっています。最新の情報に基づいて解説します。
ハマス等が2023年10月7日に反撃を行うと、その犠牲者に民間人が含まれていたことを口実に、ガザ地区の市民に対する無差別攻撃を開始しました。これはガザに対するホロコースト(民族浄化)と呼ぶべき事態であり、同時にジェノサイド(大量虐殺)と呼ぶべきものです。
イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ人をパレスチナから追い出してシオニストによる国家を樹立しようとしています。しかし、これを放置することは人類の未来にとって大きなリスクとなります。その解決の方法、2国家解決の道について解説します。
日本には、パレスチナ=イスラエルの問題を総合的に解説した入門書は多くはありませんが、必要な知識を得るのに十分な書籍は出版されています。必読書とも言うべき書籍で、原則として5年以内に出版されたものについて解説しています。
関連リンク集
【民間機関・団体】
国際的な活動を行っている機関
- 日本ユニセフ協会:ガザ人道危機緊急募金
- 国連:パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
- 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA):日本語特設サイト
- 国際連合広報センター
- パレスチナ人民連帯国際デー(11月29日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
- 連載ブログ:故郷を後にして70年。今も試練に直面し続けるパレスチナ難民と彼らを支援する国連機関UNRWA
- ジェノサイド条約とは?
- Israel/oPt: UN experts appalled by reported human rights violations against Palestinian women and girls
- 赤十字国際委員会
国際的な活動を行っている団体
【行政資料】
外務省
【その他】
在日・大使館等
報道機関
政党
【戦闘停止を呼びかけるもの】
- 立憲民主党:【代表コメント】イスラエル・パレスチナ情勢について(2023年10月10日)
- 日本共産党:【主張】ガザ地上侵攻拡大/ジェノサイド断じて許されぬ(2023年12月7日)
- 公明党:【主張】ガザ人道危機 支援拡大求める安保理決議実施を(2023年12月25日)
- れいわ新選組:【声明】イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への無差別空爆と地上侵攻は許されない(2023年10月14日)
【ハマスによるイスラエル攻撃を批判するもの】
- 自由民主党:ガザ地区の最新情勢について関係会議が説明受ける(2023年10月27日)
- 日本維新の会:ハマス等パレスチナ武装勢力によるイスラエルへの攻撃に対する声明文(2023年10月9日)
- 国民民主党:【定例記者会見】(2023年10月10日)
その他
【関連コンテンツ】
ミャンマーと企業のリスク管理
日本企業は、ミャンマーと経済的なつながりを有するケースもあります。しかし、軍事政権による人権弾圧を非難しないことは、企業の存続に対するリスクとなっています。企業のミャンマーの軍事政権との向き合い方を考えます。
人権感覚の欠如は企業のリスクとなる
インターネットが大きな影響力を持つ現代社会において、人権問題による炎上が企業のリスクとして無視できないものとなっています。企業として、また社員に対しても人権感覚を磨くことが重要であることを解説しています。