マイクロソフトが世界の労働者を対象に「リモートワークに関する調査」を行っています。
これによると、労働者の73%はパンデミック後もモートワークを続けることを望んでいる一方、41%が今後1年以内に現在の企業を辞めることを検討する可能性が高く、46%が居住地や職種の変更などを計画しているとのことです。
企業にとっても大きなリスクだと言うべきです。
1 マイクロソフトの世界労働者への調査
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マイクロソフトが世界の労働者13,000人を対象に「リモートワークに関する調査」を行っている。もちろん。日本も対象となっている。
これによると、世界の労働者の73%はパンデミックの収束後もモートワークを続けることを望んでいる一方、41%が今後1年以内に現在の企業を辞めることを検討する可能性が高く、46%が居住地や職種の変更などを計画しているという。
当然のことながら、辞めるとすれば(他で仕事がみつけられる)優秀な労働者が辞めてゆく可能性が高いだろう。企業にとっても大きなリスクだと言わざるを得ない。
2 転職意欲が高いことの問題は大きい
もちろん、転職意向が高いということは、労働者が転職することによって、その能力をより活用できるようになり、かつ収入も上がるとすれば、それは日本全体にとってプラスになる面もあろう。だが、日本の企業のように、その知識・経験・能力よりも、勤続年数が重視されるような企業体質がある中で、転職が増えることが日本全体にとってプラスになるとは思えない。
日本では、転職することによりキャリアアップされたり、その能力がより活用されるようになるケースは、決して多くはないのが実情なのである。
半数近い労働者が現在の企業を離職することを検討している事実は、日本の経済を活性化していく上で有利になるとは考えられないのである。
そもそも、多くの労働者が辞めることを検討しているような企業が成長してゆくとは思えない。企業は、もっと、足元の労働者の意識に意を払うべきだろう。
マイクロソフトも言っているが、企業内の労働者が働きやすい職場環境を実現し、その意欲・能力を活かすことを考えるべきだ。労働者は、企業から正当に評価され、将来に希望を見出すことができ、かつ一定の雇用条件が確保されれば、辞めようとは思わなくなるのだ。
3 メンタルヘルスの問題も待ったなし
一方、この調査では労働者の心身面についても調査しているが、就労日に疲れを感じる労働者の割合は39%となり、日本では48%と9ポイント高く、孤立を感じる割合は27%で日本は35%と8ポイント高い(※)。そして、67%が対面やコラボレーションの仕事を増やしたいと回答している。
※ 共同通信3月24日記事「労働者の41%が年内退職検討 MSが世界31カ国調査」による
在宅勤務が労働者の心身に悪影響を与えるという懸念が、数値で確認された形である。現代の産業保健分野において大きな課題となっていると言えよう。
厚生労働省は、「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」において、在宅勤務であっても労働安全衛生法の適用があることを明言している。健康診断のみならず、長時間労働者に対する医師による面接指導とその結果等を受けた措置も必要になる。在宅勤務だから、長時間労働者に対する健康管理が必要ないということではない。
また、「メンタルヘルス指針」を、この機会に、もう一度見直してみることも必要だろう。在宅勤務制度の対象となる労働者について、セルフケアが行えるように教育研修、情報提供を行うなどの支援をすることが重要
である。
また、マイクロソフトが言うように、企業からの適度なコミュニケーションも必要だろう。現在はそれが可能な環境が整っているのだから。