製品輸入時の石綿非含有の確認




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法律書

2021年(令和3年)5月に石綿障害予防規則が改正(公布)されました。珪藻土が含まれるバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板状の製品を輸入する場合は、分析調査講習を受講(合格)した者等が行う試験の結果によって、石綿が含まれていないことを確認する必要があります。

また、それらの物を製造又は輸入する者が、石綿を0.1wt%を超えて含有していることを知ったときは、所轄の監督署長に報告しなければなりません。

施行は同年12月1日から。




1 それは石綿含有製品の“発見”からはじまった

執筆日時:

最終改訂:

石綿(厚生労働省パンフレットより)

石綿(厚生労働省パンフレットより)

安衛法は、特に危険な化学物質で過去に重大な災害の原因となったものについて、製造・輸入・使用はおろか、譲渡・提供を禁止している(同第55条)。

この条文は、めったに違反されることはないのだが、石綿については、意識せずに輸入・使用される事件がときどき起きる。国民への健康リスクがあることはいうまでもないが、多くの場合、石綿が含有していることを知らないので、故意があるとはいえず安衛法違反に問えないことがほとんどなのである。

そして、昨年11月から、輸入・販売されている珪藻土を材料とするバスマット等に、石綿が違法に含まれていた事案が、引き続いて発生したのである。


2 石綿障害予防規則の改正内容

(1)輸入時における石綿非含有の確認

厚生労働省では、再発防止のため、2021年5月18日に石綿則の改正(令和3年5月18日厚生労働省令第96号)を公布した。同日付で関係告示(令和3年5月18日厚生労働省告示第201号)も公布され、通達(令和3年5月18日基発0518第6号「石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令等の施行について」)も発出されている。

その内容であるが、石綿を含有するおそれのある製品を予め厚生労働大臣が定めておき、事業者がそれを販売等の目的で輸入するときは、所定の方法によって、その製品中に石綿が含有(0.1%以下の場合を除く。)していないことを確認しなければならないとするものである。

珪藻土バスマット

厚生労働大臣が定める製品としては、「珪藻土が含まれるバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板状の製品」が告示で定められている。かつて、輸入されたオートバイのブレーキシューなどにも石綿が含有されていたことがあったが、これについてはすでに解決済みということのようで、今回は対象となっていない。

確認の方法としては、やや複雑だが、まず、輸入しようとする業者が、厚生労働大臣が定める者に依頼して、「分析を行った結果、石綿は含まれていない」という文書を受け取り、その文書で確認を行って、文書は3年間保存するということになっている。要は、分析を依頼して、石綿が0.1%以上含有していないという証明書を貰い、3年間保存しておくということだ。

厚生労働大臣が定める者としては、分析調査講習を受講して合格した者等が定められている。


(2)石綿を含有する製品に係る報告

また、販売等の目的で、(1)に示した製品を製造し又は輸入した事業者が、それらの製品(一部適用除外あり)が石綿を重量濃度で0.1%を超えて含有していることを知った場合は、遅滞なく、製品の名称及び型式等について、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。


3 施行の時期等

(1)実施時期及び適用除外等

改正(施行)の時期は、一部を除き2021年12月1日となる。ただし、監督署長への報告については8月1日前に、製造又は輸入した製品については、遅滞なく報告するよう努めなければならない。

なお、製造又は輸入する製品が少量であっても、製品一品目ごとの価格の合計額が1万円を超えれば適用がある。土産物等として個人が輸入する場合であっても適用があるので、留意されたい。


(2)実施時期までの留意事項

また、石綿が0.1%を超えて含有されたものを輸入することは、現時点でも禁止されている。輸入に当たって石綿が含有されてるかどうかを、12月までは確認しなくても良いということにはならないので、そこは誤解しないようにしたい。

冒頭で、事業者が石綿を含有していることを知らなかった以上、安衛法違反にはならないとは言った。しかし、当然のことながら健康被害が発生すれば民事賠償請求をされることはあり得る。また、社会的な責任を負うことがあることも当然である。

故意がないとはいえ、不注意で有害な化学物質が含まれた製品を販売するような会社の製品は使いたくないと誰しも思うであろう。法改正の前であったとしても、あるいは該当製品でないからと言って、充分な注意が不要だということではないので、肝に銘じておくべきだ。





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