衛生管理者試験未公表問の解説(1種・2種共通)

感染症と免疫




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 このページでは、衛生管理者試験(第1種・第2種)に出題された問題で、過去の公表問になかったとして、当サイトの掲示板に情報を頂いた設問に対する解説を行っています。

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2022年03月14日執筆 2022年03月15日最終追加

当サイトの掲示板に情報があった「感染症と免疫」に関する問についての解説です。

  • 【問】正常な宿主に対しては病原性を発揮しない病原体が、宿主の抵抗力が弱っているときに病原性を発揮しておこす感染症を顕性感染という(正誤は?)。(2022年03月:九州で受けました様より)

    • 【解説及び解答例】
      感染症の定義は以下の表のようになっている。本肢は日和見感染の説明である。顕性感染ではない。従って誤りである。
      感染症 意味
      顕性感染 細菌やウイルスなどの病原体が宿主の体内に侵入して増殖し、現実に発病して様々な症候を伴うものである。
      不顕性感染 宿主が病原体に感染しても症候が出現しない状態である。
      日本脳炎、ポリオなどが例として挙げられることが多いが、これらの感染症では感染しても発症しないことが多い。
      不顕性感染の人(保菌者=キャリア)は感染したまま活動して、病原体を排泄して感染源となるので感染症拡大の原因となる。
      日和見感染 通常の宿主にはほとんど病原性を発揮しない病原体(弱毒微生物)が、抵抗力が低下した宿主に対して病原性を発揮しておこす感染症である。
      健康な宿主が発病する顕性感染に比較すると、難治性で重症化しやすく致死的となることがある。
      垂直感染(参考) 病原体が母親から子へ伝わる感染のことである。経胎盤感染、経産道感染、経母乳感染がある。
      水平感染(参考) 垂直感染以外の感染のことである。感染経路による分類としては、経口、血液、接触、性、飛沫、空気、動物などがある。
  • 【問】インフルエンザの種類で、人が罹患するのは、A型、B型及びC型の3種類である(正誤は?)。(2022年03月:めめ様より)

    • 【解説及び解答例】
      インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型及びD型の4種類がある。このうち人が罹患するのはA型、B型及びC型の3種類である。従って、本肢は正しい。
      なお、人で流行するのは主にA型とB型である。C型は、一度罹患すると、その後は免疫が持続するので流行することはあまりない。A型とD型は、人以外の哺乳類や鳥類にも感染する。なお、これらの4つの型のインフルエンザには、様々な亜種がある。
      本肢は、再現が完全ではない。その後2022年4月公表問題に「インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である」(1種2種)として、正答とされている(※)ものがある。これが正しい形だった可能性がある。
      ※ 2022年4月の公表問題には「人が罹患するのは」との前提がないにもかかわらずD型に関する記述がない。おそらく出題者が、人間に罹患するものであることは当然と考えて、公表時に「人が罹患するのは」という記述を省いたのであろう。
      問題文には、D型についての記述がないが、「A型、B型及びC型の三つの型がある」としているだけで、他の型がないとは言っていないので誤りとはいえない。衛生管理者の試験ではヒトに感染しないものは、感染症の範囲に含まれないという前提で考えても良いのかもしれないが、感染症の出題は、まだ多くないので、しばらくは慎重に判断した方がよい。