問28 筋肉に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)刺激に対して意識とは無関係に起こる定型的な反応を反射といい、最も単純な反射には膝蓋腱反射などの伸張反射がある。
(2)筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差や年齢差はほとんどない。
(3)運動することによって筋肉が太くなることを筋肉の活動性肥大という。
(4)荷物を持ち上げたり屈伸運動をするとき、関節運動に関与する筋肉には、等張性収縮が生じている。
(5)筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると完全に分解され、最後に乳酸になる。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2025年10月公表問題 | 問28 | 難易度 | 筋肉に関する問題は過去問も多く、今回の肢もほぼ過去問のままである。 |
---|---|---|---|
筋肉の特徴等 | 2 |
問28 筋肉に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)刺激に対して意識とは無関係に起こる定型的な反応を反射といい、最も単純な反射には膝蓋腱反射などの伸張反射がある。
(2)筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差や年齢差はほとんどない。
(3)運動することによって筋肉が太くなることを筋肉の活動性肥大という。
(4)荷物を持ち上げたり屈伸運動をするとき、関節運動に関与する筋肉には、等張性収縮が生じている。
(5)筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると完全に分解され、最後に乳酸になる。
正答(5)
【解説】
(1)正しい。刺激に対して意識とは無関係に起こる定型的な反応を反射という。反射を起こす反射中枢は脊髄と脳幹にある。反射中枢が脊髄にあるのが脊髄反射で、脳幹にあるのが脳幹反射である。脊髄反射には伸張反射、屈曲反射、交叉性伸展反射などがあり、脳幹反射には姿勢反射、呼吸反射、咀嚼そしゃく反射などがある。
この中の伸張反射には、膝蓋腱反射(膝蓋腱(膝の皿の下にある腱)を叩くと、膝が跳ね上がる反射(※))などがある。
※ 片野由美「脊髄の機能(2)|神経系の機能」(看護roo)
(2)正しい。筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差又は年齢差がほとんどない。個人による筋力の差は、筋線維全体の太さによる。
(3)正しい。負荷の重い運動を繰り返して行うと筋肉が太くなることはよく知られている。このことを活動性肥大(functional hypertrophy)と呼ぶ。なお、運動をしなければ逆に筋肉が細くなるが、こちらは不動性萎縮(disuse atrophy)と呼ばれる。今後、どちらも出題されることがあり得るので、この機会に覚えておこう。
(4)正しい。荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、「等張性収縮」が生じている。なお、これに対し、荷物を一定の位置で支えるなど、身体を動かさずに力を出している場合は、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。
(5)誤り。短距離走などの無酸素運動を行っているとき、筋肉中のグリコーゲンは、筋細胞内で解糖経路をたどって乳酸とATPに分解される。このATPはエネルギー源として使用され、乳酸は最終的に血中に放出される。この解糖経路は、酸素がなくても可能だが、乳酸が合成されることになり、この乳酸が(古典的な考えにおいては)疲労の原因となるとされている。