第2種衛生管理者試験 2025年10月公表 問25

三大栄養素及び無機塩類等の消化・吸収




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学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問25 難易度 栄養素の消化・分解は産業保健との関係性は低いが、過去問の学習で正答できる問題が出される。
消化器系

問25 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)十二指腸に胃から酸性の消化物が入ってくると、アルカリ性のすい液が分泌され、酸を中和する。

(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3)胆汁はアルカリ性で、たん白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。

(4)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、たん白質を分解する。

(5)小腸の表面は、ビロード状のじゅう毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。膵液にはアルカリ性の HCO3が含まれるため、弱アルカリ性となっている。

胃では胃酸が分泌されるため、胃から十二指腸に送られてくる食物は酸性となっている。ところが小腸の消化酵素は、弱アルカリ性の環境中でよく働くので、十二指腸で膵液で中和しておく方が都合がよいのである。

(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。

三大栄養素は分解して吸収されて、体内で再利用される。これは、他人が建てた住宅を壊して、その材料を用いて自分の住宅の建築に用いるようなものである。レンガや木材などの素材にまで、バラバラに分解した方が再利用しやすいのである。

これに対して、無機塩やビタミン類は、体内でそのままの形で使えるので分解する必要がないのである。

(3)誤り。胆汁がアルカリ性であることは正しい。しかし、胆汁に消化酵素は含まれていない。なお、胆汁には胆汁酸が含まれ、これは脂肪を乳化して細粒化することによって消化吸収を助けている。

(4)正しい。ペプシノーゲンは胃の粘膜から分泌され、胃液中の塩酸によって活性ペプシンとなる。この活性ペプシンがタンパク質に作用して、プロテオース、ペプトンまで分解する。

(5)正しい。分解された栄養素は、小腸の表面から吸収されるため、表面には分解された栄養素が吸収しやすいように輪状ひだや、小腸絨毛が多数存在している。

2025年10月11日執筆