問21 腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)血中の蛋白質は、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
(2)血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢に濾し出される。
(3)原尿中に濾し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。
(4)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱アルカリ性である。
(5)原尿中に濾し出された電解質の多くは、尿細管から血中に再吸収される。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2025年10月公表問題 | 問21 | 難易度 | 腎臓の働き及び尿に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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腎臓の働きと尿 | 3 |
問21 腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)血中の蛋白質は、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
(2)血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢に濾し出される。
(3)原尿中に濾し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。
(4)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱アルカリ性である。
(5)原尿中に濾し出された電解質の多くは、尿細管から血中に再吸収される。
正答(5)
【解説】
何故か試験協会は、衛生管理者には腎臓の詳しい働きについての知識が必要だと思っているらしい。これがよく出題されるのである。
もともと腎臓という臓器は、太古の動物が海から川へ進出したときに手に入れたものである。彼らの皮膚は半透膜だったため、真水の川では塩分の多い体内に水が侵入してくるので、これを体外に排出する仕組みが必要になったのである。現在では、血液中の老廃物を尿として体外に排出する機能を有している。
老廃物をこしとる仕組みとして、腎臓内にはネフロンと呼ばれる多数の「装置」が備わっている。個々のネフロンは腎小体(「糸球体」と「ボウマン囊」)及び「尿細管」という組織から成り立っている。
血液は、「糸球体」「ボウマン囊」「尿細管」の順で流れる。最初の糸球体を血液が通過するとき、蛋白質や血球は通過できず、それ以外の糖質、アミノ酸、電解質、尿素などはボウマン囊へ濾し出される。ただ、糖質、アミノ酸、電解質などは有用なものなので、尿細管で大部分の水分と共に再吸収される。残りの尿素などが尿として排出されるのである。
(1)誤り。上記で述べた通り。血中の蛋白質は、糸球体からボウマン嚢に濾し出されない。
(2)誤り。血中の老廃物は、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。尿細管からボウマン囊へ戻ったりはしない。
(3)誤り。原尿中に濾し出された水分の大部分は、尿細管から血液中に再吸収される。
(4)誤り。尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有するというところは正しいとしてよい。しかし、健常人の尿の pH は食事などによって 4.5 ~ 8.0 程度で変動するが、通常は 6.0 ~ 6.5 前後であり、弱酸性となっている(※)。
※ 尿の pH は文献によって数値は異なる。なお、pH は1から 14 までの数値を取り、7が中性、7未満が酸性、7を超えるとアルカリ性である。
(5)正しい。原尿中に濾し出された電解質の多くは、尿細管から血中に再吸収される。なお、過去問では、ボウマン嚢から血中に再吸収されるとして誤りの肢としているものもある。