第2種衛生管理者試験 2025年10月公表 問16

食中毒発生の原因と予防方法




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学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問16 難易度 過去問の肢に若干の修正を加えているが、過去問の学習で正答可能である。
食中毒

問16 食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。

(2)感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。

(3)O-157 やO-111 は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、これらによる食中毒は、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などの症状を呈する。

(4)ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

(5)魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒である。代表的なものは黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などである。

(2)正しい。感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒である。代表的なものはサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどがある。

(3)正しい。腸管出血性大腸菌(O-26、O-104、O-111、O-121、O-128、O-157など)は、文字通り、出血性下痢の原因となるベロ毒素を腸管内で作る。2から9日の潜伏期を過ぎると下痢と腹痛が起きる。3日程度で腹痛や下痢の症状が激化し、頻回の水様便の後、血便が出るようになる。O-157は重症化することが多く、溶血性尿毒症症候群(HUS)となり、腎臓障害や神経障害を引き起こすことがある。

(4)正しい。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」の問15によれば、ノロウイルスの失活性には、85 ℃~ 90 ℃で 90 秒以上の加熱が望まれるとされている。

(5)誤り。赤身魚や乳製品又はその加工品などに含まれるヒスチジンが、ヒスタミン産生菌によって分解されてヒスタミンに変換されることは正しい。しかし、ヒスタミンは加熱調理によっても分解しない。

2025年10月11日執筆