第2種衛生管理者試験 2025年10月公表 問10

年次有給休暇の付与日数




問題文
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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問10 難易度 年次有給休暇付与日数は覚える項目は多いが、出題の頻度も高い。正答できるようにしたい。
年次有給休暇付与日数

問10 週所定労働時聞が 24 時間、週所定労働日数が4日である労働者であって、雇日入れの日から起算して3年6か月継続勤務したものに対して、その後1年間に新たに与えなければならない年次有給休暇日数として、法令上、正しいものは次のうちどれか。

ただし、その労働者はその直前の1年間に全労働日の8割以上出勤したものとする。

(1) 9日

(2)10日

(3)11日

(4)12日

(5)13日

正答(2)

【解説】

年次有給休暇の付与日数の問題は、労基則第 24 条の3第1項及び第4項の規定に該当するかどうかで、切り分けて考えなければならない。

本問の労働者は、1週間の所定労働時間が 24 時間で週所定労働日数が4日であるので、労基則第 24 条の3第1項及び第4項の規定により、労基法第 39 条第3項に該当する。従って、労基法第 39 条第1項及び第2項は適用されず、労基則第 24 条の3第3項が適用される。

従って、この労働者は週所定労働時間が4日で雇入れの日から起算して3年6か月継続勤務しているので、同項の表により 10 労働日を年次有給休暇として付与しなければならない。

【労働基準法】

(年次有給休暇)

第39条 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

 (略)

 次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。

 1週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者

 (略)

④から⑩ (略)

【労基則】

第24条の3 法第39条第3項の厚生労働省令で定める時間は、30時間とする。

 法第39条第3項の通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、5.2日とする。

 法第39条第3項の通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数は、同項第一号に掲げる労働者にあつては次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第二号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の一年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。

週所定労働日数 一年間の所定労働日数 雇入れの日から起算した継続勤務期間
6箇月 1年6箇月 2年6箇月 3年6箇月 4年6箇月 5年6箇月 6年6箇月以上
4日 (略) 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 (略) 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 (略) 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 (略) 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 法第39条第3項第一号の厚生労働省令で定める日数は、4日とする。

 (略)

労基則第 24 条の3の表の覚え方であるが、フルタイムの労働者の有給休暇数と週所定労働日数による比例付与(端数切捨て)となっているのである。

フルタイムの労働者の有給休暇の付与日数は、まず、初年度を 10 日とする。その後、3年目までは1日づつ増やし、4年目以降は2日づつ増やして 20 までで増えたところで、その後は 20 日とする。

週所定労働日数 一年間の所定労働日数 雇入れの日から起算した継続勤務期間
6箇月 1年6箇月 2年6箇月 3年6箇月 4年6箇月 5年6箇月 6年6箇月以上
5.2 日 (略) 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

そして、パートタイム労働者の1週間当たりの所定労働時間が 30 時間未満の場合、上表のフルタイムの労働者の週所定労働日数を 5.2 日として、パートタイム労働者にはその所定労働日数に応じて、年次有給休暇を比例付与(端数切捨て)すると考えるのである。

すなわち、

Phd = Fhd × Pwd (端数切捨て)
5.2
Phd パートタイム労働者の有給休暇付与日数
Pwd パートタイム労働者の週所定労働日数
Fhd フルタイム労働者の有給休暇付与日数

で計算するのである。

2025年10月11日執筆