問29 ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)個人にとって適度なストレッサーは、身体的には活動の亢進を、心理的には意欲の向上、満足感、充実感などを生じさせる。
(2)個人の能力や感性に適合しないストレッサーは、心理的には不安、焦燥感、抑うつ感などを、身体的には疲労を生じることがある。
(3)典型的なストレス反応として、副腎皮質ホルモンの分泌の著しい減少がある。
(4)ストレスにより、高血圧症、狭心症、十二指腸潰瘍などの疾患が生じることがある。
(5)昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2025年04月公表問題 | 問29 | 難易度 | ストレスによる健康影響は過去問は多くはないが、今回の問題の肢はすべて過去問と同じものである。 |
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ストレスと健康 | 2 |
問29 ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)個人にとって適度なストレッサーは、身体的には活動の亢進を、心理的には意欲の向上、満足感、充実感などを生じさせる。
(2)個人の能力や感性に適合しないストレッサーは、心理的には不安、焦燥感、抑うつ感などを、身体的には疲労を生じることがある。
(3)典型的なストレス反応として、副腎皮質ホルモンの分泌の著しい減少がある。
(4)ストレスにより、高血圧症、狭心症、十二指腸潰瘍などの疾患が生じることがある。
(5)昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。外部からの刺激であるストレッサーは、その形態や程度が過大なものや恒常的なもの等でなければ、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動をかえって活発化することもある。また、心理的には意欲の向上、満足感、充実感などを生じさせることもある。
(2)正しい。個人の能力や感性に適合しないストレッサは、心理的には不安、焦燥感、抑うつ感などを生じる。また、ストレス反応とは、ストレッサに対処するために、消化機能や免疫力などを犠牲にして一時的に体の活動力を高めることであり、身体的には疲労を生じることがある。
(3)誤り。副腎皮質ホルモンの分泌は、心拍数や血圧を上昇させ、血糖値を高める働きがある。外部になんらかのストレッサがあると、身体はそのストレッサに対応するため副腎皮質ホルモンを供給して活動的になる。しかし、体には強い負荷がかかるため、ストレスが強い状態が続くと体は疲弊することとなる。
(4)正しい。ストレスを受けていると、高血圧症になりやすいことはフラミンガム研究など様々な調査で認められている。また、冠状動脈硬化症のような心臓病の患者がストレスを受けると、脈が増えて血圧が上昇するために心臓の酸素必要量が増加するのに血液の供給が対応できず、心臓が酸素不足になって狭心症発作を起こすことがある。また、十二指腸潰瘍は、胃液の分泌と粘液の分泌のバランスが崩れて生じることがあり、ストレスが誘因となっていることが多い。
(5)正しい。ストレスは環境の変化によって起きることがある。昇進のような喜ぶべきことでも、ストレッサーとなり得るし、転勤、配置替えなどもストレスの原因となることがある(※)。
※ 厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準」(令和5年9月1日基発 0901 第2号)の「別表1 業務による心理的負荷評価表」によれば、昇進、転勤、転勤・配置転換等も業務上の心理的負荷であるとされている。