問25 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100 gの水分が体重 70㎏ の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2025年04月公表問題 | 問25 | 難易度 | 体温調節の問題は過去問でも頻出事項。過去問の選択肢を修正した程度の問題。 |
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体温調節の仕組み | 2 |
問25 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100 gの水分が体重 70㎏ の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量を減らし、血液から熱が逃げる量を減らす。
(2)誤り。暑熱な環境においては、熱の発生量を抑える必要がある。内臓の血流量が低下し体内の代謝活動を抑制することにより、人体からの熱の産生量を抑制する。本肢は寒冷な環境における状態である。
(3)正しい。体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)正しい。汗が蒸発すると、気化熱によって体の熱を奪って体温を下げる。水の気化熱は1gにつき約 0.58kcal であるから、100 g の汗は約 58kcal の熱を奪う。一方、人体の比熱は約 0.83 であり、体重 70kg の人の熱容量は70 × 0.83= 58.1 kcalとなる。従って、汗が 100g 蒸発すると、計算上体温は 1.0 ℃下がる。もちろん、これは計算上のことであって、実際には 1.0 ℃も下がらない。
(5)正しい。熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われることは正しい。当然であろう。熱の放散が物理的な過程で行われなかったらどんな過程で行われるというのだ。
また、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがあることもその通りである。
なお、不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失のことである。文献によっては、皮膚からの蒸散のみを指すとするものもある。不感蒸泄の量は、条件により変動するが、常温安静時には健常成人で1日に約900㎖(皮膚から約600㎖、呼気による喪失分が約300㎖)程度と言われる。