第2種衛生管理者試験 2025年4月公表 問11

事務室における必要換気量(換気量公式)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年04月公表問題 問11 難易度 事務室における必要換気量の計算式は、基本中の基本である。正答できるようにしておこう。
事務室の必要換気量

問11 事務室における必要換気量Q(m3/h)を算出する式として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。

ただし、AからDは次のとおりとする。

A 室内二酸化炭素濃度の測定値(ppm)

B 室内二酸化炭素基準濃度(ppm)

C 外気の二酸化炭素濃度(ppm)

D 在室者全員が1時間に呼出する二酸化炭素量(m3/h)

(1)Q={D(A-B)}×100

(2)Q={D(A-C)}×100

(3)Q={D(B-C)}×100

(4)Q={D(A-B)}×1,000,000

(5)Q={D(B-C)}×1,000,000

※ 画面の小さなデバイスでは選択肢が画面からはみ出します。スクロールして確認してください。

正答(5)

【解説】

受験テクニックとして、必要換気量の公式を暗記するという方法もあるが、この公式の算出の根拠を考えてみよう。

我々は、室内の二酸化炭素の濃度を基準値であるB(ppm)にしたい。この(理想的な)状態でQ(m3/h)の換気をすると、室内の二酸化炭素はB×Q×10-6(m3/h)だけ室外へ排出されることになる。10-6を乗じているのは、濃度の単位がppm(百万分率)だからである。

ところが、換気をすれば外気が同じ量だけ室内へ入ってくる。外気の二酸化炭素濃度はC(ppm)なので、外気からC×Q×10-6(m3/h)だけ室内へ流入することになる。従って、差し引き(B-C)×Q×10-6(m3/h)の二酸化炭素が減少することになる。

一方、在室者全員が、D(m3/h)の二酸化炭素を室内に呼出しているので、これだけの二酸化炭素を減少させなければならないことになる。

従って、D=(B-C)×Q×10-6を満足するように換気をしてやれば、室内の濃度はBに保たれることになる。これを整理すれば(5)のようになる。

なお、事務所の必要換気量の計算式は、2020年4月公表問題の問 11 までは単位がppmだったが、2020年 10 月公表問題の問 11 からは単位が%となっていた。今回は、再びppmに戻ったが、考え方は同じ(※)である。

※ 単位が ppm か % かで、正答となる肢は変わる。意味を考えずに答えの公式だけ覚えておくと間違えることになる。合格への近道のためには、ぜひ解説を読んで理解しておいていただきたい。

2025年04月14日執筆