問4 衛生委員会に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)衛生委員会の議長には、総括安全衛生管理者である委員はなることができない。
(2)衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
(3)事業場に専属でないが、産業医として選任している医師を、衛生委員会の委員として指名することができる。
(4)作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合、当該作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできない。
(5)事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するものを、衛生委員会の委員として指名することができる。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2025年4月公表問題 | 問04 | 難易度 | 衛生委員会の問題で、やや引っ掛け問的な内容の問題である。 |
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衛生委員会 | 1 |
問4 衛生委員会に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)衛生委員会の議長には、総括安全衛生管理者である委員はなることができない。
(2)衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
(3)事業場に専属でないが、産業医として選任している医師を、衛生委員会の委員として指名することができる。
(4)作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合、当該作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできない。
(5)事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するものを、衛生委員会の委員として指名することができる。
正答(1)
【解説】
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 (第1項及び第2項 略)
3 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。
4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
5 (略)
(衛生委員会)
第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一~四 (略)
2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 (略)
三 産業医のうちから事業者が指名した者
四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。
4 前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。
(1)誤り。安衛法第 18 条第4項が準用する同第 17 条第3項により、衛生委員会の議長は、原則として、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した委員がなるものとするとされている。
やや分かりにくい文章だが、要するに議長には事業場のトップ又はそれに準じる者が就任するということである。事業場の衛生管理に最終的な責任を持つべきは、その事業場のトップであるべきなので、議長には事業場のトップまたはそれに準じる者が就任するのである。
(2)正しい。安衛法第 18 条第4項が準用する同第 17 条第4項により、衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
安衛法の思想では、労働衛生を目的とした衛生委員会は労使自治の場なのである。そのために、議長以外の労使の数を同数とするのである。
(3)正しい。安衛法第 18 条第2項(第三号)の規定により、産業医は少なくとも1名を委員として指名しなければならない。事業場に専属かどうかは要件とされていない。
(4)正しい。安衛法第 18 条第3項の規定により委員として指名できるのは、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものである。作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合に、その作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできない。
衛生委員会に、事業場に専属でない者を選任できるのは、衛生コンサルタントである衛生管理者(1名のみ)か、産業医(何名でも可)に限られる。作業環境測定士も例外ではない。
(5)正しい。安衛法第 18 条第2項(第四号)の規定により、事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するものを、衛生委員会の委員として指名することができる。