問24 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の絨毛の毛細血管に吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれる。
(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)胆汁はアルカリ性で、蛋白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。
(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。
(5)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2024年10月公表問題 | 問24 | 難易度 | 栄養素の消化・分解は産業保健との関係性は低いが、過去問の学習で正答できる問題が出される。 |
---|---|---|---|
消化器系 | 2 |
問24 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の絨毛の毛細血管に吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれる。
(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)胆汁はアルカリ性で、蛋白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。
(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。
(5)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。ブドウ糖、アミノ酸、無機物は、小腸の絨毛(※)の毛細血管に吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれる。
※ 中学・高校では文部省・日本動物学会編「学術用語集<動物学編>(増訂版)」(丸善)によって「柔毛」と教えている。なお、日本動物学会・日本植物学会編「生物教育用語集」(東京大学出版会)も、「柔突起、絨毛ともいうが、教育用語としては、字数が少なく平明な柔毛に統一した
」とされる。今後、衛生管理者試験でも「柔毛」とされる可能性があるので留意すること。
(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。
三大栄養素は分解して吸収されて、体内で再利用される。これは、他人が建てた住宅を壊して、その材料を用いて自分の住宅の建築に用いるようなものである。レンガや木材などの素材にまで、バラバラに分解した方が再利用しやすいのである。
これに対して、無機塩やビタミン類は、体内でそのままの形で使えるので分解する必要がないのである。
(3)誤り。胆汁がアルカリ性であることは正しい。しかし、胆汁に消化酵素は含まれていない。なお、胆汁には胆汁酸が含まれ、これは脂肪を乳化して細粒化することによって消化吸収を助けている。
(4)正しい。胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌する。塩酸は消化というより食物中の細菌を類を殺す役割を持つが、消化を助けているとは言えるだろう。ペプシノーゲンは塩酸の働きで、蛋白消化酵素であるペプシンとなる。
また、胃の役割は、食物をいったん蓄えて、消化に適したどろどろの状態にする(消化)ことにあり、水分や栄養素の吸収を行う器官ではない。
(5)正しい。これは当然であろう。「エネルギー源など」といわれれば、どのような「利用」も含まれてしまう。誤りの肢になりようがない。