第2種衛生管理者試験 2024年10月公表 問12

職場の温熱条件




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年10月公表問題 問12 難易度 過去公表問題では連続7回目の出題である。基本的な知識問題であり、確実に正答できる必要がある。
職場の温熱条件

問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)温度感覚を左右する環境要素は、気温、湿度及び気流であり、この三要素によって温熱環境が定まる。

(2)実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度及び気流の総合効果を温度目盛りで表したものである。

(3)相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものである。

(4)WBGT は、暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標で、日射がない場合は、自然湿球温度と黒球温度の測定値から算出される。

(5)WBGT 基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値となる。

正答(1)

【解説】

本問は、令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」(以下、本問の解説において「通達」と略す。)からの出題であると思われる。

この解説は、通達及び通達の別紙「職場における熱中症予防基本対策要綱」(以下「要綱」という。)によって解説している。

(1)誤り。WBGTは、気温に加え、湿度、風速(気流)、ふく射(放射)熱を考慮して総合的に評価する指標であるとされている(※)

※ すでに廃止された通達だが、平成17年7月 29 日基安発第 0729001 号「熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について」にはこのように明記されていた。

(2)正しい。実効温度とは、米国のヤグローらが提唱した体感温度の指標である。気温、湿度及び風速(気流)の様々な組合せについて、それと同じ体感になる湿度100%で無風の温度を、ボランティアによる実験によって定めている。感覚温度又は実感温度ともいう。

ふく射が考慮されていないのは、ヤグローらがふく射の影響のない事務所などを対象に考えていたためであり、ふく射の体感温度への影響を軽視していたわけではない。

(3)正しい。相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものであり、乾球温度と湿球温度によって求められる。

(4)正しい。WBGTが、暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標であることはとくに問題はないだろう。日射がない場合は、自然湿球温度、黒球温度の測定値から次のように算出される。

WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度

(5)正しい。通達の解説の表1-1において、WBGT基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値とされている。

2024年10月18日執筆