第2種衛生管理者試験 2024年4月公表 問25

腎臓の働きと尿




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年4月公表問題 問25 難易度 腎臓の働き及び尿に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
腎臓の働きと尿

問25 腎臓又は尿に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 腎臓の皮質にある腎小体では、糸球体から血液中の糖以外の血漿しょう成分がボウマンのうし出され、原尿が生成される。

B 腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。

C 尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である。

D 尿酸は、体内のプリン体と呼ばれる物質の代謝物で、健康診断において尿中の尿酸の量の検査が広く行われている。

(1)A,B

(2)A,C

(3)A,D

(4)B,C

(5)C,D

正答(3)

【解説】

ネフロン概念図

©看護roo!

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何故か試験協会は、衛生管理者には腎臓の詳しい働きについての知識が必要だと思っているらしい。これがよく出題されるのである。

もともと腎臓という臓器は、太古の動物が海から川へ進出したときに手に入れたものである。彼らの皮膚は半透膜だったため、真水の川では塩分の多い体内に水が侵入してくるので、これを体外に排出する仕組みが必要になったのである。現在では、血液中の老廃物を尿として体外に排出する機能を有している。

老廃物をこしとる仕組みとして、腎臓内にはネフロンと呼ばれる多数の「装置」が備わっている。個々のネフロンは腎小体(「糸球体」と「ボウマン囊」)及び「尿細管」という組織から成り立っている。

血液は、「糸球体」「ボウマン囊」「尿細管」の順で流れる。最初の糸球体を血液が通過するとき、蛋白質や血球は通過できず、それ以外の糖質、アミノ酸、電解質、尿素などはボウマン囊へ濾し出される。ただ、糖質、アミノ酸、電解質などは有用なものなので、尿細管で大部分の水分と共に再吸収される。残りの尿素などが尿として排出されるのである。

A 誤り。上記で説明したように、腎臓の皮質にある腎小体で、糸球体からボウマン嚢に濾し出されるのは、蛋白質や血球以外の血漿であり、糖質、アミノ酸、電解質、尿素などを含んでいる。

B 正しい。上記で説明したように、腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。

C 正しい。誤り。尿が淡黄色の液体で、固有の臭気を有していることは、とくに問題はあるまい。また、尿は、平均するとpH6.0前後であり、弱酸性である。ただ、直前に食べた食物によって変動し、pH4.5~8.0であればとくに異常ではない。一般に動物性食品を摂取すると酸性側に、植物性食品を過剰摂取するとアルカリ性側に傾く。

D 誤り。健康診断で測定する尿酸値とは、血中の血清尿酸値のことである。尿中の尿酸のことではない。なお、尿酸は、体内のプリン体と呼ばれる物質の代謝物(※)であることは正しい。

※ 代謝(Metabolism)によって生成された代謝生成物(Metabolite)のうち、不必要な物質を老廃物と呼び、尿酸はこの老廃物に当たる。

2024年04月16日執筆