問17 脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)脳血管障害は、脳の血管の病変が原因で生じ、出血性病変、虚血性病変などに分類される。
(2)出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(3)くも膜下出血は、通常、脳動脈瘤が破れて数日後に発症し、激しい頭痛を伴う。
(4)虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的な虚血が起こる狭心症と、不可逆的な心筋壊死が起こる心筋梗塞とに大別される。
(5)心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2024年4月公表問題 | 問17 | 難易度 | いわゆる過労死の問題で過去問は多くない。しかし、内容は常識的なものである。 |
---|---|---|---|
過重労働対策 | 2 |
問17 脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)脳血管障害は、脳の血管の病変が原因で生じ、出血性病変、虚血性病変などに分類される。
(2)出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(3)くも膜下出血は、通常、脳動脈瘤が破れて数日後に発症し、激しい頭痛を伴う。
(4)虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的な虚血が起こる狭心症と、不可逆的な心筋壊死が起こる心筋梗塞とに大別される。
(5)心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。脳血管障害は、脳の血管の硬化など、血管病変が原因で引き起こされる脳神経系の障害である。
血管が詰まって(脳梗塞)脳の細胞に栄養素や酸素が届かなくなり細胞が死亡する「虚血性病変」と、頭蓋内部の血管から出血(脳出血)する「出血性病変」などに分類される。一言で言えば、血管が詰まるタイプと破れるタイプに分類できるわけである。
なお、「虚血」とは「血液がない」という意味だと覚えておこう。
(2)正しい。出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。出血が起きる場所で分類している。
(3)誤り。くも膜下出血の8~9割は、脳動脈瘤の破裂が原因である。動脈瘤が破裂して動脈中の血液がくも膜下腔内に流れ込むことで発症する。破裂した直後に発症する。数日後に発症するわけではない。
(4)正しい。虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的虚血が起こる狭心症と、不可逆的な心筋壊死が起こる心筋梗塞とに大別される。狭心症では数分間の痛みがあるが、通常は安静にしていれば回復する。心筋梗塞は、強い痛みが続き、安静にしていても回復しない。
(5)正しい。心筋梗塞は、強い痛みが続き、安静にしていても短時間では回復しない。急性心筋梗塞症では、冠動脈が完全に塞がってその部分の心筋細胞が壊死し、症状も長時間続く。