第2種衛生管理者試験 2023年10月公表 問29

ストレスによる健康影響等




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問29 難易度 過去問は多くはないが、ほぼ労働衛生の常識的な内容。正答できなければならない。
ストレス

問29 ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)外部からの刺激であるストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。

(2)ストレスに伴う心身の反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。

(3)昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。

(4)職場環境における騒音、気温、湿度、悪臭などがストレスの原因となることがある。

(5)ストレスにより、高血圧症、狭心症、十二指腸潰瘍などの疾患が生じることがある。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。誤り。あまりにも当然すぎて、ひっかけ問題ではないかとさえ思えるが、適度なストレスはかえって人の活動を促進することがある。なお、過度なストレッサーが、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧することはある。

(2)正しい。まず、アドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が、カテコールアミンを基底物質とすることは正しいので、前提条件は正しいとしてよい。

なお、アドレナリンとノルアドレナリンは副腎髄質ホルモンであることも覚えておこう。副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンには次のようなものがある。

【副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンの例】

  • 副腎皮質ホルモン
  • コルチゾール(糖質コルチコイド)
  • アルドステロン(鉱質コルチコイド)
  • 副腎アンドロゲン(DHEA、DHEA-S)
  • 副腎髄質ホルモン
  • アドレナリン(エピネフリン)
  • ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)

アドレナリンは、血管の収縮、瞳孔の散大、血圧の上昇、心拍数の増加などの興奮を引き起こす作用がある。ノルアドレナリンは神経伝達物質であるが、筋肉のエネルギー源を確保供給したり、脳の活動を活発にしたりする作用がある。いずれも「ストレスホルモン」と呼ばれることがあり、ストレスに関与している。

また、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールも、ストレスを受けたときに増加する重要な「ストレスホルモン」である。糖利用の調節、血圧を正常に保つ等の作用があり、ストレスから生体を防御するホルモンである。なお、その濃度が高くなりすぎると濃度を低く保つように制御されているが、過剰なストレスを長期にわたって受けると、この制御が正常に働かなくなり、うつ病や不眠症や、ストレス関連疾患の一因となる。

(3)正しい。ストレスは環境の変化によって起きることがある。昇進のような喜ぶべきことでも、ストレッサーとなり得るし、転勤、配置替えなどもストレスの原因となることがある。

(4)正しい。厚労省の「」は「職場における疲労やストレスの要因となるものには、作業環境、作業方法のほか、職場における人間関係、職場組織等種々の要因がある」としている。職場環境としての騒音、気温、湿度、悪臭などはストレスの原因となることがある。

(5)正しい。ストレスを受けていると、高血圧症になりやすいことはフラミンガム研究など様々な調査で認められている。また、冠状動脈硬化症のような心臓病の患者がストレスを受けると、脈が増えて血圧が上昇するために心臓の酸素必要量が増加するのに血液の供給が対応できず、心臓が酸素不足になって狭心症発作を起こすことがある。また、十二指腸潰瘍は、胃液の分泌と粘液の分泌のバランスが崩れて生じることがあり、ストレスが誘因となっていることが多い。

2023年10月08日執筆