第2種衛生管理者試験 2023年10月公表 問11

職場の温熱条件




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問11 難易度 過去公表問題では連続5回目の出題である。基本的な計算問題であり、確実に正答できる必要がある。
職場の温熱条件

問11 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)温度感覚を左右する環境条件は、気温、湿度及びふく射(放射)熱の三つの要素で決まる。

(2)実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度及び気流の総合効果を温度目盛りで表したものである。

(3)相対湿度は、乾球温度と湿球温度によって求められる。

(4)WBGT基準値は、身体に対する負荷が大きな作業の方が、負荷が小さな作業より小さな値となる。

(5)WBGT値がその基準値を超えるおそれのあるときには、冷房などによりWBGT値を低減すること、代謝率レベルの低い作業に変更することなどの対策が必要である。

正答(1)

【解説】

本問は、令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」(以下、本問の解説において「通達」と略す。)からの出題であると思われる。

この解説は、通達及び通達の別紙「職場における熱中症予防基本対策要綱」(以下「要綱」という。)によって解説している。

(1)誤り。WBGTは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する指標であるとされている(※)。本肢は、風速が抜けていることで誤りである。

※ すでに廃止された通達だが、平成17年7月29日基安発第0729001号「熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について」にはこのように明記されていた。

(2)正しい。実効温度とは、米国のヤグローらが提唱した体感温度の指標である。気温、湿度及び風速の様々な組合せについて、それと同じ体感になる湿度100%で無風の温度を、ボランティアによる実験によって定めている。感覚温度又は実感温度ともいう。

ふく射が考慮されていないのは、ヤグローらがふく射の影響のない事務所などを対象に考えていたためであり、ふく射の体感温度への影響を軽視していたわけではない。

(3)正しい。相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものであり、乾球温度と湿球温度によって求められる。

(4)正しい。要綱の表1-1に「身体作業強度等に応じた WBGT 基準値」によれば、WBGT基準値は、身体に対する負荷が大きな作業の方が、負荷が小さな作業より小さな値となる。

(5)正しい。要綱の第2の1の(1)WBGT 値の低減等に「WBGT値が、WBGT基準値を超え、又は超えるおそれのある場合には、冷房等により当該作業場所のWBGT値の低減を図ること、身体作業強度(代謝率レベル)の低い作業に変更すること、WBGT基準値より低いWBGT値である作業場所での作業に変更することなどの熱中症予防対策を作業の状況等に応じて実施するよう努めること」とされている。

2023年10月07日執筆