第2種衛生管理者試験 2023年10月公表 問05

労働安全衛生規則上の衛生基準




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学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問05 難易度 安衛則の衛生基準に関する知識問題。過去問の数字だけを修正している。正答できなければならない。
安衛則の衛生基準

問5 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。

(1)常時男性 35 人、女性 10 人の労働者を使用している事業場で、労働者が床することのできる男女別々の休養室又は休養所を設けていない。

(2)常時 50 人の労働者を就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き450mとなっている。

(3)日常行う清掃のほか、毎年1回、12 月下旬の平日を大掃除の日と決めて大掃除を行っている。

(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.5mとしている。

(5)労働衛生上の有害業務を有しない事業場において、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、常時床面積の 25 分の1である屋内作業場に、換気設備を設けていない。

正答(1)

【解説】

過去問の数字を修正して、違反している肢と違反していない肢を入れ替えたりしている。過去問と正答を丸暗記しているだけでは正解できない典型的な問題である。

(1)違反していない。男女合わせて 45 人、女性 10 人なので安衛則第 618 条に違反していない。この条文で覚えておくのは、「常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上」「労働者が床することのできる」「男性用と女性用に区別して」の3箇所。なお、「床(床)」とは横になれるということ。会社ができた当初は守られていても、誰も条文を覚えていないと、物置に改造されて違反状態になっていることがよくある。

衛生管理者試験を受けようとする方の多くは、常時 50 人以上の労働者を雇用する事業場で働いていることが多いと思う。自社に「労働者が床することのできる」休養室又は休養所が「男性用と女性用に区別して」あったかなと考えてみると覚えやすい。

なお、試験本番で、「男性の人数が少なければ、男性は床ができなくてもよいのではないか」という疑問が湧くことがあるので、ここはきちんと押さえておくこと。男性20人で女性が29人なら男女とも床ができなくてもよいが、男性1人で女性が30人だと、男女ともに床床できる必要があるのだ。

このようにしたのは、女性だけ床できるようにすると、男性が女性の休養室に入って横になろうとするのではないかという不安があったためである。今では信じられないようなことだが、この規定ができた当時は、男尊女卑の風潮があり、また中高齢の女性の羞恥心など気にする必要はないという時代だったのだ。

【労働安全衛生規則】

(休養室等)

第618条 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

(2)安衛則第600条に違反している。50人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積については、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き、500m以上としなければならない。

【労働安全衛生規則】

(気積)

第600条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10 立方メートル以上としなければならない。

(3)安衛則第 619 条に違反している。大掃除は6月以内ごとに1回行わなければならない。あなたの事業場では、半年に一回、大掃除を行っていますか? やっていないと違反になる。試験までに覚えておこう。

【労働安全衛生規則】

(清掃等の実施)

第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。

二及び三 (略)

(4)安衛則第 630 条(第二号)に違反している。食堂の床面積は、食事の際の1人について、1m2以上としなければならない。常識的に考えても床面積が 0.5m2では、やや狭すぎるだろう。

なお、この1m2には、食堂内の通路部分を含んでいる。法令の文章を覚えるときは、自分の会社に当てはめてイメージし、「この程度はないと狭いな」などと考えて覚えるようにすると忘れにくい。

【労働安全衛生規則】

(食堂及び炊事場)

第630条 事業者は、事業場に附属する食堂又は炊事場については、次に定めるところによらなければならない。

 (略)

 食堂の床面積は、食事の際の1人について、1平方メートル以上とすること。

三から十 (略)

十一 炊事従業員専用の休憩室及び便所を設けること。

十二から十五 (略)

(5)安衛則第 601 条第1項に違反している。なお、開放することができる窓等の面積が、床面積の 20 分の1未満では換気装置を設けなければならないことは覚えておくこと。

【労働安全衛生規則】

(換気)

第601条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向つて開放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならない。ただし、換気が十分行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない。

 (略)

2023年10月07日執筆