問30 睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
(2)副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢進する。
(3)睡眠と覚醒のリズムは、体内時計により約1日の周期に調節されており、体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を、概日リズム睡眠障害という。
(4)睡眠と食事は深く関係しているため、就寝直前の過食は、肥満のほか不眠を招くことになる。
(5)脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問30 | 難易度 | 睡眠に関する知識問題である。過去問をひねってあるが過去問の学習で十分に対応可能。 |
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睡眠 | 3 |
問44 睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
(2)副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢進する。
(3)睡眠と覚醒のリズムは、体内時計により約1日の周期に調節されており、体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を、概日リズム睡眠障害という。
(4)睡眠と食事は深く関係しているため、就寝直前の過食は、肥満のほか不眠を招くことになる。
(5)脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。
正答(5)
【解説】
(1)正しい。レム睡眠は眼球が動いている眠りの浅い状態であり、ノンレム睡眠は眼球が動かない熟睡している状態である。睡眠中は、ほぼ90分周期でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返している。入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
(2)正しい。副交感神経とは身体をリラックスさせるためのもので、交感神経はその逆で緊急事態に対応できるよう身体の体制を整えるためのものだと思えばよい。副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢進する。
(3)正しい。睡眠と覚醒のリズムのように、約1日(25時間程度)の周期で繰り返される生物学的リズムのことである。このリズムの乱れは、疲労や「概日リズム睡眠障害」と呼ばれる睡眠障害の原因となる。本肢が「外界の24時間周期」と言っていることにはやや疑問を感じるが、(5)が明らかに誤りなのでこちらは正しいとしておく。
(4)正しい。就寝直前の過食が良くないことは、常識として知っておかなければならない。睡眠前の食事が肥満に影響を与えることについて異論がないわけではない(※)が、「過食」をすれば睡眠前でなくとも肥満になるだろう。また、睡眠前の食事が概日時計に影響をして不眠を招くことがあることはよく知られている。
※ 例えば、小澤啓子他「夜遅い食事と肥満との関連:英文文献を用いたシステマティックレビュー」(日健教誌 第24巻 第4号 2016年)は、文研研究の結果から「夜遅い食事と肥満との関連について結論を出すことは難しい
」としている。
(5)誤り。2021年10月公表問題の問30の(5)をひねったものか。脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。
なお、本肢の説明はメラトニンに関するものである。メラトニンは松果体ホルモンで、「睡眠ホルモン」などと呼ばれている。朝方に分泌が止まり、目覚めてから14〜16時間が経過すると再び分泌されて、眠気を感じるようになる。分泌には光の影響を受ける。