問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)温度感覚を左右する環境条件は、気温、湿度及びふく射(放射)熱の三つの要素で決まる。
(2)熱中症はⅠ度からⅢ度までに分類され、このうちⅢ度が最も重症である。
(3)WBGTは、暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標で、日射がない場合は、自然湿球温度と黒球温度の測定値から算出される。
(4)WBGT基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値となる。
(5)相対湿度とは、空気中の水蒸気圧とその温度における飽和水蒸気圧との比を百分率で示したものである。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問12 | 難易度 | このタイプの問題は2度目だが、換気量の問題は頻出している。過去問の学習で正答可能。 |
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職場の温熱条件 | 3 |
問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)温度感覚を左右する環境条件は、気温、湿度及びふく射(放射)熱の三つの要素で決まる。
(2)熱中症はⅠ度からⅢ度までに分類され、このうちⅢ度が最も重症である。
(3)WBGTは、暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標で、日射がない場合は、自然湿球温度と黒球温度の測定値から算出される。
(4)WBGT基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値となる。
(5)相対湿度とは、空気中の水蒸気圧とその温度における飽和水蒸気圧との比を百分率で示したものである。
正答(1)
【解説】
本問は、令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」(以下、本問の解説において「通達」と略す。)からの出題であると思われる。
この解説は、通達及び通達の別紙「職場における熱中症予防基本対策要綱」(以下「要綱」という。)によって解説している。
(1)誤り。過去問に同じ肢がある。WBGTは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する指標であるとされている(※)。本肢は、風速が抜けていることで誤りである。
※ すでに廃止された通達だが、平成17年7月29日基安発第0729001号「熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について」にはこのように明記されていた。
(2)正しい。過去問に同じ肢がある。要綱の解説の表3によれば、熱中症はⅠ度からⅢ度までに分類され、このうちⅢ度が最も重症である。
※ なお、熱中症の重症度をⅠ度からⅢ度までに分類するのは、日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン 2015」で紹介された「熱中症重症度分類 2015」によっている。同学会は、「熱中症診療ガイドライン 2024」(5ページ以降)において、熱中症の重症度をⅠ度からⅣ度までに分類する新しい分類法を公表している。
今後、要綱もこれに従って改正されるものと思われるが、要綱が改正されれば、本肢は誤りの肢ということになろう。
(3)正しい。過去問に同じ肢がある。屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合は、WBGT値は自然湿球温度及び黒球温度の値から次式によって算出される。
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
(4)正しい。過去問に同じ肢がある。通達の解説の表1-1において、WBGT基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値とされている。
(5)正しい。過去問に同じ肢がある。これは、物理学の定義である。相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものである。