問8 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。
(1)常時男性5人及び女性35人の労働者を使用している事業場で、男女共用の休憩室のほかに、女性用の臥床することのできる休養室を設けているが、男性用の休養室や休養所は設けていない。
(2)60 人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き 600 m3としている。
(3)労働衛生上の有害業務を有しない事業場において、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、常時床面積の25分の1である屋内作業場に、換気設備を設けていない。
(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.8 m2としている。
(5)日常行う清掃のほか、1年以内ごとに1回、定期に、統一的に大掃除を行っている。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問08 | 難易度 | 安衛則の衛生基準に関する知識問題である。過去問をややひねってはいるが、過去問の学習で正答可能。 |
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安衛則の衛生基準 | 3 |
問8 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。
(1)常時男性5人及び女性35人の労働者を使用している事業場で、男女共用の休憩室のほかに、女性用の臥床することのできる休養室を設けているが、男性用の休養室や休養所は設けていない。
(2)60 人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き 600 m3としている。
(3)労働衛生上の有害業務を有しない事業場において、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、常時床面積の25分の1である屋内作業場に、換気設備を設けていない。
(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.8 m2としている。
(5)日常行う清掃のほか、1年以内ごとに1回、定期に、統一的に大掃除を行っている。
正答(2)
【解説】
(1)違反している。女性 35 人の労働者を使用しているので、安衛則第 618 条により男性用の休養室又は休養所も設けなければならない。女性が 30 人以上いれば、男性の数が少なくても男性用の休養室又は休養所を設けなければならないのである。この条文ができた当時は、男尊女卑の意識が根強く、しかもセクハラという言葉さえない時代である。男性用の休養室又は休養所を設けないと、男性が女性用の休養室又は休養所に入りかねないと考えられたのである。そういう時代だったということを知らないと不思議に思えるかもしれない。
覚えておくのは、「常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上」「労働者が臥床することのできる」「男性用と女性用に区別して」の3箇所。なお、「臥床」とは横になれるということ。会社ができた当初は守られていても、誰も条文を覚えていないと、物置に改造されて違反状態になっていることがよくある。
なお、本肢は過去問の数字を変えているが、同種の過去問がないわけではない。
【労働安全衛生規則】
(休養室等)
第618条 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
(2)違反していない。本問は、過去問で違反している肢であった「500 m3」を「600 m3」と変えて違反していない肢に変えている。安衛則第600条により、60 人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き 600 m3とすれば違反とはならない。
なお、本問について掲示板で「正しくは4mではないか」との問合せがあった。本問は「正しいか誤っているか」ではなく「違反となるかどうか」であることに留意されたい。3mを超える高さにある空間を除いて 600m3となっていれば、4mを超える高さにある空間を除いても必ず 600m3以上となるので、違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(気積)
第600条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。
(3)違反している。なお、正しい肢であった過去問の「15分の1」を「25分の1」として誤りの肢にしたものである。
【労働安全衛生規則】
(換気)
第601条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向つて開放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならない。ただし、換気が十分行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない。
2 (略)
(4)違反している。これは過去問に全く同じ問題が出題されている。事業場に附属する食堂の床面積は、食事の際の1人について、1m2としなければならない。
なお、本条に関しては第十一号もよく出題されるので、ここで覚えてしまおう。
【労働安全衛生規則】
(食堂及び炊事場)
第630条 事業者は、事業場に附属する食堂又は炊事場については、次に定めるところによらなければならない。
一 (略)
二 食堂の床面積は、食事の際の1人について、1平方メートル以上とすること。
三から十 (略)
十一 炊事従業員専用の休憩室及び便所を設けること。
十二から十五 (略)
(5)違反している。過去問に全く同じ肢がある。安衛則第 619 条に違反している。大掃除は6月以内ごとに1回行わなければならない。
自分の事業場がどうしているかを思い出してみよう。ほとんどの場合、本条に違反しているはずだ。それにかこつけて覚えてしまおう。
【労働安全衛生規則】
(清掃等の実施)
第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。
二及び三 (略)