第2種衛生管理者試験 2023年4月公表 問06

事務所則に基づく設備の点検、清掃等




問題文
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未来に向かって指さす女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年04月公表問題 問06 難易度 事務所則に基づく設備の点検、清掃等は過去問も多い。過去問をかなりひねってある問題。
事務所則(設備点検等)

問6 事務室の設備の定期的な点検等に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

(1)機械による換気のための設備については、3か月以内ごとに1回、定期に、異常の有無を点検しなければならない。

(2)燃焼器具を使用するときは、発熱量が著しく少ないものを除き、1か月以内ごとに1回、定期に、異常の有無を点検しなければならない。

(3)空気調和設備内に設けられた排水受けについては、原則として、2か月以内ごとに1回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検しなければならない。

(4)空気調和設備の加湿装置については、原則として、2か月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検しなければならない。

(5)空気調和設備の冷却塔及び冷却水については、原則として、1か月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行わなければならない。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。過去問の正しい肢であった「2か月以内ごとに1回」を「1か月以内ごとに1回」と変えて誤りの肢にしたもの。過去問の学習で正答できる肢である。

【事務所衛生基準規則】

(点検等)

第9条 事業者は、機械による換気のための設備について、はじめて使用するとき、分解して改造又は修理を行なつたとき、及び二月以内ごとに一回、定期に、異常の有無を点検し、その結果を記録して、これを三年間保存しなければならない。

(2)誤り。過去問の正しい肢であった「毎日」を「1か月以内ごとに1回、定期に」と変えて誤りの肢にしたもの。過去問の学習で正答できる肢である。

燃焼器具など、毎日点検しないと不完全燃焼をすれば一酸化炭素が生じて危険である。また、事務所の燃焼器具の点検で、大きな負担が生じるわけでもない。

【事務所衛生基準規則】

(燃焼器具)

第6条 事業者は、燃焼器具(発熱量が著しく少ないものを除く。以下同じ。)を使用する室又は箇所には、排気筒、換気扇その他の換気のための設備を設けなければならない。

 事業者は、燃焼器具を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。

 (略)

(3)誤り。過去問の正しい肢であった「原則として、1か月以内ごとに1回」を「原則として、2か月以内ごとに1回」と変えて誤りの肢にしたもの。過去問の学習で正答できる肢である。

【事務所衛生基準規則】

(点検等)

第9条の2 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、病原体によつて室の内部の空気が汚染されることを防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

一~三 (略)

 空気調和設備内に設けられた排水受けについて、当該排水受けの使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行うこと。ただし、1月を超える期間使用しない排水受けに係る当該使用しない期間においては、この限りでない。

 (略)

(4)誤り。過去問に全く同じ誤りの肢がある。事務所則第9条の2(第三号)により、空気調和設備を設けている場合は、その設備内に設けられた加湿装置について、原則として、1か月以内ごとに1回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行わなければならない。2か月以内ごとに1回では足りない。

【事務所衛生基準規則】

(点検等)

第9条の2 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、病原体によつて室の内部の空気が汚染されることを防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

一及び二 (略)

 加湿装置について、当該加湿装置の使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行うこと。ただし、1月を超える期間使用しない加湿装置に係る当該使用しない期間においては、この限りでない。

四及び五 (略)

(5)正しい。本肢は過去問にない肢である。事務所則第9条の2(第二号)により、空気調和設備の冷却塔及び冷却水については、原則として、1か月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行わなければならない。

事務所則第9条の2については第三号及び第四号について出題されたことがある。その学習の際に第二号についても確認しておけば正答できる肢である。また、この肢の正誤が分からなかったとしても、過去問の学習で他の肢について正答できれば、この肢が正しい肢であると分かるはずの問題である。

【事務所衛生基準規則】

(点検等)

第9条の2 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、病原体によつて室の内部の空気が汚染されることを防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

 (略)

 冷却塔及び冷却水について、当該冷却塔の使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行うこと。ただし、1月を超える期間使用しない冷却塔に係る当該使用しない期間においては、この限りでない。

三~五 (略)

【新傾向問題と過去問の学習方法】

本問は、正答の(5)だけが過去に出題されていない条文(事務所則第9条の2(第二号))に関する内容であり、他の肢は多少変形しているものの過去に出題例がある内容である。そのため、過去問の問題文と正答の丸暗記では正答できないが、過去問の内容を理解して自分のものにしていれば正答できる問題である。

いわゆる新傾向問題の典型的な例である。現在の衛生管理者試験の典型的な例であると言える。当サイトの衛生管理者試験掲示板には、現在の試験について「過去問の学習では合格できない」という意見と「過去問の学習で合格可能」という意見がある。要は過去問の学習の方法による違いということであろう。

2023年04月19日執筆