第2種衛生管理者試験 2022年10月公表 問12

照明、採光など




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年10月公表問題 問12 難易度 照明、採光等に関する基本的な知識問題である。確実に正答できるようにしておこう。
照明などの視環境

問12 照明などの視環境に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)1ルクス(lx)は、光度1カンデラ(cd)の光源から1m離れた所において、光軸に垂直な面が受ける明るさをいう。

(2)部屋の彩色として、目の高さ以下は、まぶしさを防ぎ安定感を出すために濁色とし、目より上方の壁や天井は、明るい色を用いるとよい。

(3)全般照明と局部照明を併用する場合、全般照明による照度は、局部照明による照度の5分の1程度としている。

(4)前方から明かりを取るときは、まぶしさをなくすため、眼と光源を結ぶ線と視線とがなす角が、40° 程度になるようにしている。

(5)照明設備は、1年以内ごとに1回、定期に点検し、異常があれば電球の交換などを行っている。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。ルクス(lx)は照度の単位で、カンデラ(㏅)は光度の単位である。1(lx)は、1(㏅)の光源から、1m離れた所において、光軸に垂直な面が受ける明るさをいう。

(2)正しい。部屋の彩色として、目の高さ以下は、まぶしさを防ぎ安定感を出すために濁色とし、目より上方の壁や天井は、明るい色を用いるとよい。

なお、山津(※1)は、適当なる明度対比として、天井:8.0~9.0、側壁:6.5~8.0、腰羽目:5.0~6.0、床:4.5という米国の基準を紹介している。

(3)正しい。近年、省エネのために、全般照明の明るさを落として、作業面に局部照明を併用することで、電力を節約するタスクアンドアンビエント照明方式が広く用いられている。ただ、作業面における水平面照度の変化は、出来るだけ小さいことが望ましい。

なお、衛生管理者の試験では、「全般照明の明るさは局部照明の10分の1以上が望ましい」として正しい肢であるとすることが多かったが、10分の1ではやや比率が大きすぎる。2020年4月公表問題以降は5分の1以上という数字となり、今回は5分の1程度となって正しいとされている。これでもやや低いように思えるが、いずれも誤りとは言えないだろう。

これについて、JISZ9110:2010(照明基準総則)は、部屋全般に平均100(lx)、作業面(情報端末ディスプレイを除く)に局部的に750(lx)を推奨している。この場合、作業面周辺は200~300(lx)程度の明るさになると想定され、作業面周辺と作業面の照度比はおよそ1:3になる。

また、明石他(※2)によると、「伝票処理などの一般的な事務作業の場合、周辺照度/作業面照度の比が1.0、0.33、0.1のうち、1.0の照明条件下で最も集中でき、企画などの思考を伴う作業の場合、0.1の照明条件で最も集中できることを明らかにした」とされている。

(4)正しい。視野の中に輝度の高い光源があれば、目が疲労し不快感を感じるばかりか、物が見えにくくなる。これがグレア(まぶしさ)である。視線を中心として上下30°の範囲はグレアゾーンと呼ばれ、この範囲には輝度の高い光源をなくすのが照明の基本とされている。40°程度になるように光源の位置を決めていれば、間違いとは言えない。

(5)誤り。事務所則第10条第3項によれば、照明設備は、6月以内ごとに1回、定期に点検しなければならないとされている。1年以内ごとでは足りない。

【事務所衛生基準規則】

(照度等)

第10条 (第1項及び第2項 略)

 事業者は、室の照明設備について、六月以内ごとに一回、定期に、点検しなければならない。

※1 山津幸夫「色彩調節の実施とその効果その1(工場と事務室)」(照明学会雑誌 第26巻 第7号 1952年)

※2 明石行生他「作業者の集中度と周辺照度/作業面照度の比との関係」(照明学会誌 第80巻 第8A号 1996年)

2022年10月09日執筆