問4 労働安全衛生規則に基づく次の定期健康診断の項目のうち、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる項目に該当しないものはどれか。
(1)自覚症状の有無の検査
(2)腹囲の検査
(3)胸部エックス線検査
(4)心電図検査
(5)血中脂質検査
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2022年10月公表問題 | 問04 | 難易度 | 省略可能な定期健康診断の項目に関する知識問題である。常識である程度は正答可能な問題か。 |
---|---|---|---|
一般の定期健康診断 | 3 |
問4 労働安全衛生規則に基づく次の定期健康診断の項目のうち、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる項目に該当しないものはどれか。
(1)自覚症状の有無の検査
(2)腹囲の検査
(3)胸部エックス線検査
(4)心電図検査
(5)血中脂質検査
正答(1)
【解説】
問題文中に「定期健康診断」とあるが、これは安衛則第44条第1項の「一般の定期健康診断」のことであると考えてよい。健康診断の項目については、同項に示されており、第2項に「厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる」項目(1項各号でアンダーラインを付けた項目)が定めてある。
なお、平成30年に、省略できる項目が一部変更になっている。
また、問題文にもあるように、医師の自由な判断で省略できるわけではなく、厚生労働大臣の定める基準によらなければならない。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2から5 (略)
【労働安全衛生規則】
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
2 第1項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3及び4 (略)
【労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準】
次の表の上欄に掲げる健康診断の項目については、それぞれ同表の下欄に掲げる者について医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
項目 | 省略することのできる者 |
---|---|
身長の検査 |
二十歳以上の者 |
腹囲の検査 |
一 四十歳未満の者(三十五歳の者を除く。) 二 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの 三 BMI(次の算式により算出した値をいう。以下同じ。)が二十未満である者 BMI=体重(kg)/身長(m)2 四 自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが二十二未満である者に限る。) |
胸部エックス線検査 |
四十歳未満の者(二十歳、二十五歳、三十歳及び三十五歳の者を除く。)で、次のいずれにも該当しないもの 一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成十年政令第四百二十号)第十二条第一項第一号に掲げる者 二 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)第八条第一項第一号又は第三号に掲げる者 |
喀痰検査 |
一 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者 二 胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者 三 胸部エックス線検査の項の下欄に掲げる者 |
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査 |
四十歳未満の者(三十五歳の者を除く。) |
※ 「労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」は、衛生管理者の試験範囲に含まれない(試験範囲は「関係法令」であるが、告示は法令に含まれない。)が、参考までに示した。
安衛則第 44 条第2項の文言によれば、厚生労働大臣が定める基準に含まれないものは省略できないこととなる。そのため、安衛則第44条第1項第三号の「身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査」は法令ではすべて省略可能なはずだが、体重、視力及び聴力の検査は省略できないこととなる。
(1)省略できない。自覚症状の有無の検査は、医師の問診で聴くべきものである。これを省略したら、何のための問診なのだ。また、こんなものを省略しても意味はあるまい。
(2)省略できる。腹囲の検査は、例えば、妊娠中の女性は測定する意味はない。そのことに気付けるかどうかだが・・・。
(3)省略できる。胸部エックス線検査は、測定に一定の害がある。他の法令で測定している者まで測定する必要はないことに気づけば正答できる。
(4)省略できる。
(5)省略できる。