第2種衛生管理者試験 2022年4月公表 問10

労働基準法に定める妊産婦保護




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年04月公表問題 問10 難易度 妊産婦に対する保護(規制)は、基本中の基本である。正答できるようにしておこう。
妊産婦保護規定

問10 労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

ただし、常時使用する労働者数が10人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。

(1)妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。

(2)妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

(3)1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。

(4)フレックスタイム制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。

(5)生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。妊産婦の定義は労基法第64条の3に定められており、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性とされている。

【労働基準法】

(危険有害業務の就業制限)

第64条の3 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。

2及び3 (略)

(2)正しい。労基法第65条第3項に、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないと定められている。

【労働基準法】

(産前産後)

第65条 (第1項及び第2項 略)

 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

(3)正しい。1年単位の変形労働時間制は、労基法第32条の4第1項によって定められているが、同法第66条第1項は、この制度を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、1週40時間及び1日8時間を超えて労働させてはならないとしている。

なお、管理監督者等については、そもそも同法第41条の規定により、休日・労働時間の適用がない(妊産婦についての保護規定は第6章の2に定められている。)。

ところで、妊産婦保護の必要性は、管理監督者であっても一般の労働者であっても、同じはずなのにおかしいと思うかもしれない。これは、管理監督者は自らの意思で労働時間を決定できる力を持っているので、本人の意思に任せておけばよいという発想なのである。すなわち、労働時間を自らの力で決めることができないような者は、労基法上の管理監督者に該当しないのである。

【労働基準法】

第32条の4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第三十二条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第一項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

 (略)

 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)

三から五 (略)

2から4 (略)

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

 (略)

 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

 (略)

第6章の2 妊産婦等

第66条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項、第32条の4第1項及び第32条の5第1項の規定にかかわらず、一週間について第32条第1項の労働時間、一日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。

2及び3 (略)

(4)誤り。フレックスタイム制は、労基法第32条の3に規定されているが、これについて、妊産婦に適用しないとする規定は存在していない(第 66 条は第32条の3には適用されない。)。フレックスタイムは、労働者が自ら労働時間を決定できるものであるから、これの適用を外したのでは保護にならないであろう。

【労働基準法】

第32条の3 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

一から四 (略)

2から4 (略)

第66条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項、第32条の4第1項及び第32条の5第1項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。

2及び3 (略)

(5)正しい。労基法第68条の通りである。生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

【労働基準法】

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)

第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

2022年04月08日執筆