第2種衛生管理者試験 2021年10月公表 問23

消化器系の仕組みと働き




問題文
トップ
合格

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2021年10月公表問題 問23 難易度 消化器系に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
消化器系

問23 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、たん白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。

(2)無機塩やビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3)すい臓から十二指腸に分泌される膵液には、消化酵素は含まれていないが、血糖値を調節するホルモンが含まれている。

(4)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を消化する。

(5)小腸の表面は、ビロード状のじゅう毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

正答(3)

【解説】

(1)試験協会が公表した正答では正しい肢とされている。ただし、誤りと解する余地あり。

三大栄養素は糖質(炭水化物)、蛋白質及び脂肪(テキストによっては脂質と記載されている。)である。糖質はブドウ糖(グルコース)などに分解された後、小腸で吸収されて肝臓に運ばれる。肝臓に運ばれたブドウ糖は、血液によって各組識に運ばれてエネルギー源となる。蛋白質はアミノ酸に分解された後、小腸から吸収される。ここまでは正しい。

問題は脂肪である。脂肪は胆汁やリパーゼなどによって分解され、かつては脂肪酸とグリセリンになると考えられていた。しかし、現在ではこれは必ずしも正しくないとされている。脂質は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるのである。なお、モノグリセリドとは、脂肪酸1分子とグリセリン1分子が結合したものである。

しかし、衛生管理者の試験では「脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解される」と覚えておこう。

(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。

(3)誤り。膵液とは、膵臓で分泌され、膵管から十二指腸へ送られる消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含んでいる。一方、膵臓内のランゲルハンス島から分泌されるインスリン、グルカゴンなどのホルモンは、血糖値を調節する役割を果たす。

(4)正しい。ペプシノーゲンは胃の粘膜から分泌され、胃液中の塩酸によって活性ペプシンとなる。この活性ペプシンがタンパク質に作用して、プロテオース、ペプトンまで分解する。

(5)正しい。分解された栄養素は、小腸の表面から吸収されるため、表面には分解された栄養素が吸収しやすいように輪状ひだや、小腸絨毛が多数存在している。

2021年10月30日執筆