第2種衛生管理者試験 2021年10月公表 問14

労働衛生管理に用いられる統計




問題文
トップ
合格

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2021年10月公表問題 問14 難易度 統計についての中学生レベルの知識を問う問題。ただ、意外と正答率は低いかもしれない。
労働衛生関連統計

問14 労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのバラツキの程度は、平均値や最頻値によって表される。

(2)集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(3)健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の出現割合を有所見率といい、このようなデータを静態データという。

(4)健康診断において、対象人数、受診者数などのデータを計数データといい、身長、体重などのデータを計量データという。

(5)ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、それらの間に因果関係がないこともある。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。平均値はそのグループ全体の傾向を表し、最頻値とは最もサンプル数の多い区分を表している。バラツキとは関係がない。バラツキを示す指標は、標準偏差や分散である。

(2)正しい。平均値が正常値の場合、分散がゼロであればそのグループはすべてが正常値であるが、分散が大きければ異常なケースが存在している可能性がある。分散が異なれば、異なった特徴をもつ集団であると評価しなければならない。

(3)正しい。ある時点での検査における有所見者の出現割合を有所見率という。そして、静態データとは、ある時点におけるデータをいうので、このようなデータは静態データである。

(4)正しい。正しい。計数データとは個数を数えたデータのことであり、計量データとは連続的な量を測定したデータである。計数データは誤差をなくすことは可能であるが、計量データは誤差が避けられない。

健康診断において、対象人数、受診者数などは計数データであり、身長、体重などのデータは計量データである。

(5)正しい。ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、たまたま(偶然)ということもあり得る。また、他に共通な原因があるだけで、その事象と健康事象との間には因果関係がないこともあり得る。

2021年10月28日執筆