問11 一般の事務室における換気に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 人間の呼気の成分の中で、酸素の濃度は約16%、二酸化炭素の濃度は約4%である。
B 新鮮な外気中の酸素濃度は約21%、二酸化炭素濃度は0.3~0.4%程度である。
C 室内の必要換気量(m3/h)は、次の式により算出される。
D 必要換気量の算出に当たって、室内二酸化炭素基準濃度は、通常、1%とする。
(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D
このページは、試験協会が2021年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年10月公表問題 | 問11 | 難易度 | 事務室における必要換気量の計算式は、基本中の基本である。正答できるようにしておこう。 |
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事務室の必要換気量 | 4 |
問11 一般の事務室における換気に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 人間の呼気の成分の中で、酸素の濃度は約16%、二酸化炭素の濃度は約4%である。
B 新鮮な外気中の酸素濃度は約21%、二酸化炭素濃度は0.3~0.4%程度である。
C 室内の必要換気量(m3/h)は、次の式により算出される。
D 必要換気量の算出に当たって、室内二酸化炭素基準濃度は、通常、1%とする。
(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D
正答(4)
【解説】
以下により(4)が正答となる。
A 正しい。人間が呼吸をすると、肺で酸素と二酸化炭素の交換が行われるので、吸気中よりも酸素濃度が減少し、二酸化炭素が増加する。その濃度は、酸素が約16%、二酸化炭素が約4%である。なお、この他に、体内で発生したガスが約1%含まれている。
B 誤り。新鮮な外気中の酸素濃度は約21%というのは正しい。一方、二酸化炭素濃度は年々増加しているが、0.03~0.04%程度と覚えておけばよい。
C 正しい。室内の必要換気量(m3/h)は、次の式により算出される。
受験テクニックとして、必要換気量の公式を暗記するという方法もあるが、この公式の算出の根拠を考えてみよう。
我々は、室内の二酸化炭素の濃度を基準値であるB(ppm)にしたい。この(理想的な)状態でQ(m3/h)の換気をすると、室内の二酸化炭素はB×Q×10-6(m3/h)だけ室外へ排出されることになる。10-6を乗じているのは、濃度の単位がppm(百万分率)だからである。
ところが、換気をすれば外気が同じ量だけ室内へ入ってくる。外気の二酸化炭素濃度はC(ppm)なので、外気からC×Q×10-6(m3/h)だけ室内へ流入することになる。従って、差し引き(B-C)×Q×10-6(m3/h)の二酸化炭素が減少することになる。
一方、在室者全員が、D(m3/h)の二酸化炭素を室内に呼出しているので、これだけの二酸化炭素を減少させなければならないことになる。
従って、D=(B-C)×Q×10-6を満足するように換気をしてやれば、室内の濃度はBに保たれることになる。これを整理すれば上式のようになる。
D 誤り。問題文の「通常」という表現がややあいまいであるが、酸欠則第5条第1項(第二号)は、機械換気設備で室に供給される空気の二酸化炭素濃度を「百万分の千以下」すなわち0.1%以下にすることを求めている。これは建築物衛生法、建築基準法、ビル管理法等においても同じである。
このため、通常は0.1(%)を用いるのが普通である。
【酸素欠乏症等防止規則】
(空気調和設備等による調整)
第5条 事業者は、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。
一 (略)
二 当該空気中に占める一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率が、それぞれ百万分の十以下(外気が汚染されているために、一酸化炭素の含有率が百万分の十以下の空気を供給することが困難な場合は、百万分の二十以下)及び百万分の千以下であること。
三 (略)
2及び3 (略)