第2種衛生管理者試験 2021年10月公表 問06

雇入れ時の安全衛生教育




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合格

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年10月公表問題 問06 難易度 雇入れ時の安全衛生教育に関する基本的な知識問題である。正答できなければならない問題である。
雇入れ時の安全衛生教育

問6  雇入れ時の安全衛生教育における次のAからDの教育事項について、法令上、金融業の事業場において省略できるものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 従事させる業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。

B 作業開始時の点検に関すること。

C 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。

D 作業手順に関すること。

(1)A,B

(2)A,C

(3)B,C

(4)B,D

(5)C,D

正答(4)

【解説】

雇入れ時等の教育について定める安衛則第35条第1項は、その但し書きにおいて、安衛令第2条第3号の業種の事業場の労働者については、「作業開始時の点検に関すること」など4項目の事項について教育を省略することができるとしている。そして、金融業は安衛令第2条第3号の業種に該当するため、省略の対象とはなる。

一方、省略可能な事項は、安衛則第35条但書(第一号~第四号)に定められている。従って、省略できる項目はこれを確認すればよいが、同項を知らなくても非工業的な業種では必要のないことが定められているのでそれを選べばよい。従って、BとDが省略可能で、(4)が正答となる。

なお、2022年に公布された「労働安全衛生規則及び特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令」(令和四年二月二十四日厚生労働省令第二十五号)により、2024年4月1日より安衛則第35条但書は削除され、省略規定はなくなることに留意されたい。

【労働安全衛生法施行令】

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)

第2条 (略)

 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人

 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人

 その他の業種 千人

【労働安全衛生規則】

(雇入れ時等の教育)

第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第二条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。

 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。

 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。

 作業手順に関すること。

 作業開始時の点検に関すること。

 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。

 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。

 事故時等における応急措置及び退避に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

 (略)

※ 安衛則第35条第1項は、2024年(令和6年)4月1日より、次のように但書が削除される。

(雇入れ時等の教育)

第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。

一~八 (略)

 (略)

A 従事させる業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関することは安衛則第35条第1項第五号に定めてあるので省略できない。腰痛などの疾病は、非工業的業種でも発生するだろうから必要であろう。

B 作業開始時の点検に関することは安衛則第35条第1項第四号に定めてあるので省略できる。

C 整理、整頓及び清潔の保持に関することは安衛則第35条第1項第六号に定めてあるので省略できない。これは、非工業的業種でも必要であろう。

D 作業手順に関することは安衛則第35条第1項第三号に定めてあるので省略できる。

2021年10月18日執筆