第2種衛生管理者試験 2021年4月公表 問30

筋肉の特徴




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合格

 このページは、試験協会が2021年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年04月公表問題 問30 難易度 筋肉に関する、やや高度だが過去問で対応可能な問題である。正答できるようにしておこう。
筋肉・運動

問30 筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

(2)筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

(3)荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

(4)強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

(5)筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm 当たりの平均値をとると、性差や年齢差がほとんどない。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。心臓を形成する心筋を除けば、本肢は正しい文章である。すなわち、心筋を除けば、横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができる。一方、平滑筋は、心臓以外の内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

しかし、心臓を形成する心筋は、内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができないが横紋筋である。

(2)誤りといえる。本肢の前半の筋肉が神経から送られてくる信号によって収縮することが正しいことは問題はないだろう。

次に、筋肉が神経に比べて疲労しやすいかどうかに答えるためには、まず「疲労」とは何かを明確にする必要がある。日本疲労学会は「疲労」を「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義している。

そうなると、「疲労」とは「筋肉」又は「神経」が独自に起こし、その起きやすさを比較できるようなものなのか、やや疑問は湧く。そこで切り口を変えて、「疲労」を生理的にみて、その原因は何なのかを考えてみよう。

古典的な考え方によれば、筋肉が疲労するのは、筋肉が運動するためにブドウ糖を利用するとき、酸素が十分に供給されないと乳酸が生じ、この乳酸によって筋肉が十分に働けなくなった常態であるとされている。あるいは、傷付いた筋繊維などが回復する際に、炎症を起こして痛み物質が発生して、疲労が起きるという考え方もある。これらによれば、本肢は誤っているというべきだろう。

もっとも、疲労が乳酸によるとする考え方は誤りだとする説もある。それによると、疲労の原因は、活性酸素による酸化ストレスで神経細胞が破壊されることだとされている。

こうなると、問題文のいう「筋肉は神経に比べて疲労しやすい」という部分は、やや意味不明であり、正誤もはっきりしない。しかし(5)が明らかに正しいので、一応、誤りであるとしておく。

(3)誤り。「筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている」のは、荷物を一定の位置で支えるなど、身体を動かさずに力を出している場合である。荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、「等張性収縮」が生じている。

「等尺性収縮」と「等張性収縮」の意味は覚えておこう。運が良ければ、これだけで1問正答できる。

(4)誤り。強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維が太くなるが、その数はほとんど変わらない。筋力のある人もない人も、筋線維の数はあまり変わらず、筋線維の太さが違うのである。これは、女性と男性の差でも同じである。

(5)正しい。正しい。筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差又は年齢差がほとんどない。個人による筋力の差は、筋線維全体の太さによる。

2021年04月25日執筆

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