第2種衛生管理者試験 2021年4月公表 問24

消化器系の仕組みと働き




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 このページは、試験協会が2021年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年04月公表問題 問24 難易度 消化器系に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
消化器系

問24 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、たん白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とエチレングリコールに、酵素により分解されて吸収される。

(2)無機塩、ビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。

(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。

(5)小腸は、胃に続く全長6~7mの管状の器官で、十二指腸、空腸及び回腸に分けられる。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。三大栄養素とは、糖質(炭水化物)、蛋白質及び脂肪(テキストによっては脂質と記載されている。)である。糖質はブドウ糖(グルコース)などに分解された後、小腸で吸収されて肝臓に運ばれる。蛋白質はアミノ酸に分解された後、小腸から吸収される。ここまでは正しい。

脂肪は胆汁やリパーゼなどによって分解され、かつては脂肪酸とグリセリンになると考えられていた。しかし、現在ではこれは必ずしも正しくないとされている。脂質は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるのである。なお、モノグリセリドとは、脂肪酸1分子とグリセリン1分子が結合したものである。

いずれにせよ、本肢は誤っている。なお、衛生管理者の試験では「脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解される」と覚えておこう。

(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。

(3)正しい。これは当然であろう。「エネルギー源など」といわれれば、どのような「利用」も含まれてしまう。誤りの肢になりようがない。

(4)正しい。胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌する。塩酸は消化というより食物中の細菌を類を殺す役割を持つが、消化を助けているとは言えるだろう。ペプシノーゲンは塩酸の働きで、蛋白消化酵素であるペプシンとなる。

また、胃の役割は、食物をいったん蓄えて、消化に適したどろどろの状態にする(消化)ことにあり、水分や栄養素の吸収を行う器官ではない。

(5)正しい。本肢の通りである。なお、栄養分は、小腸で吸収され、血液やリンパによって組織に運搬されて体内に蓄えられ、エネルギー源などとして利用される。

2021年04月25日執筆